ノキアが技術イベント開催――電話回線で1Gbps超を可能にするG.fastをアピール

ノキアソリューションズ&ネットワークスは2017年11月30日、技術イベント「Connected Future 2017」を都内で開催。メタル回線を利用して1Gbpsを超えるブロードバンドサービスを可能にする「G.fast」のデモなどを公開した。

「Connected Future」は、ノキアが顧客である通信事業者などを対象に毎年行っているイベント。今回は「5G/IoT」「データセンター」「AI・アナリティックス&イノベーション」などをテーマに、最新の技術・ソリューションが18のブースで紹介された。

ノキアが、今回力を入れていた展示の1つに、既設のメタル回線を利用して1Gbps超の高速データ通信サービスを可能にするG.fastのデモンストレーションがある。

FTTHサービスには、光ファイバーを顧客宅に直接引き込む方式のほか、光ファイバーを建物の共用部分まで引き込み、それ以降は電話用に敷設されたメタル回線を用いるVDSL方式もある。ノキアは来年春に、G.fastと日本のVDSL規格の双方に対応できる製品を新たに投入し、G.fastの展開を本格化させる。

デモでは、この製品を用いて実際に50mのメタル回線を介して、下り1Gbps強、上り500Mbpsの通信が可能であることが示された。ノキアでは「4K/8KのIPTVにも十分に対応できる」と述べる。

ノキアは、10月に地域通信事業者のエネコム(広島市)と接続試験を実施しており、FTTHサービスを手がけるNTT東西、KDDI、ソフトバンクやCATV事業者などへの導入を目指している。「VDSLとの後方互換性を確保したことで数百万台(子機)規模の需要が期待できる」と見ているという。

G.fastのデモ。50mのメタル回線を介して下り1Gbps強の通信が可能
G.fastのデモ。50mのメタル回線を介して下り1Gbps強の通信が可能

MEC(Multi-access Edge Computing)のコーナーでも大掛かりなデモが行われた。

ブースを取り囲む形で4台のカメラを設置、エンコードした上でノキアのエッジコンピューティングサーバーを利用して、Wi-Fi経由で配信。ユーザーがスマートフォンのアプリを使って望むアングルの映像を閲覧できるようにする。LTE/5Gで導入が見込まれるMECによる低遅延な映像配信を、まずWi-Fiで体験してもらおうというものだ。

野球やサッカーなどの競技を会場で観戦する場合、臨場感は得られるものの、試合の流れなどがつかみにくいことがある。その際、ワンセグで情報を得ようとしても、「目の前の試合より6秒程度遅れて表示されるため違和感が大きい」。このエッジビデオオーケストレーションという技術は、その解決策になるものだという。基本的にはLTE/5G網への導入を想定したソリューションだが、「Wi-Fiをアクセス回線として用いれば、競技場などが自ら導入することもできる」という。

このほか、災害現場などに自営LTEの基地局を持ち込み、映像伝送や一斉同報などの通信を可能にする「パブリックセーフティLTE」や、ノキアが開発した2.4TBの処理能力を持つチップを用いた大容量スイッチなど、最新のソリューションに来場者の関心が集まった。

パブリックセーフティLTEでは、動画で災害現場などの情報を共有できる
パブリックセーフティLTEでは、動画で災害現場などの情報を共有できる

ブース展示とあわせて行われた技術セミナーでは、2018年1月1日付でノキアソリューション&ネットワークスの日本法人社長に就任予定のジョン・ハリトン氏(現在はノキア米国法人の無線通信部門責任者)がパネルディスカッションに参加し、日本の顧客に初めて紹介された。

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