OKIネットワークスは2009年11月、従業員数10名程度までの小規模オフィス向けIPテレフォニー新製品「スマート・オフィス・ステーション IPstage1000」を発売した(2010年1月出荷)。
これまで大~中規模向け製品を展開してきたOKIにとって、このカテゴリーでの製品リリースは初となる。それだけに、既存のビジネスホンにはない数々の特徴を備えたものとなっている。
本体装置(左)はA4サイズで重量約1kgと小型軽量。壁掛けにも対応するなど、設置に場所を取らないのも利点の1つ。電話機は「SIP電話機」とIP多機能電話機の2種類を用意(デザインは同一)した。ソフトフォン「Com@WILL」も含めて、最大12のIP内線を収容できる。価格はオープンで、市場価格は本体とIP多機能電話機5台で25万円程度と予想される |
工事・保守は自前でもOK
ポイントは大きく2つ。1つは、ビジネスホンとブロードバンドルーターの2つの機能を併せ持つ点だ。電話とインターネット環境が統合できて、さらにFMCサービスへの対応、簡易CTI、SaaS連携といった先進機能も搭載。これ1台で小規模オフィスに必要十分なICT環境を提供しようというのが、そのコンセプトである。
もう1つ重要なのが、導入工事と保守作業の思い切った簡略化を実現したことだ。内線はフルIP環境とし(IP内線最大12台。アナログ電話機も2台接続可能)、電話に関する専門の知識が無くとも導入・運用できるように開発されている。PCからウィザード形式で初期セットアップが可能な「オートプロビジョニング機能」を備え、運用開始後も内線番号や転送設定の変更などがWebブラウザから容易に行える。ユーザー企業の管理者自身でも導入・運用が可能だ。
新規オフィスの設立、あるいは小規模拠点を早期に開設したい場合などに電話とインターネット環境を素早く整えられる。
似通った特徴を持つ商品としては、“工事不要”をコンセプトとするNTT東西の「Netcommunity SYSTEM RACSIA(ラクシア)」があるが、まだまだ手薄な商品カテゴリーであることは間違いない。一般的なビジネスホンの導入は、SOHOオフィスにとって工事・保守費用が多大な負担となる。IPstage1000は、そこに新たな選択肢を提供するものとなるだろう。
ケータイ内線も使い倒す
さて、具体的な導入効果をイメージしながら特徴を押さえていこう。まずはコスト削減効果からだ。
IP電話サービスは、フレッツ 光ネクストのひかり電話オフィスタイプに対応した。インターネット接続と電話回線の統合により基本料金が削減できるうえ、通話料金も割安だ。また、IPstage 1000はVPNルーター機能を有するため、テレワーク環境とオフィスとの間を容易に内線化でき、この点でもコスト削減効果が見込める。
携帯電話の内線化も可能だ。NTTドコモの「オフィスリンク」、KDDIの「KDDI ビジネスコールダイレクト」に対応。社内と外出社員の携帯との間の通話料を定額化できる。
次に、業務効率アップにつながる機能をいくつか紹介しよう。
各社員が二役三役もこなし、外出が多くなりがちな小規模オフィスでは、内蔵ボイスメール(2ch、最大50時間)と、着信時にオフィスの電話と携帯電話等の転送先を同時に呼び出す「ツインコール機能」が有効だ。転送先はユーザーポータル画面から社員個々が設定できる。加えて、発信先番号ごとに転送先を指定できるため(写真)、緊急性の高い相手からの電話は携帯に転送し、それ以外はボイスメールに回すといった運用も可能だ。
電話機と連携できるソフトフォン「Com@WILL」も使い出がありそうだ。
PC画面上で電話帳データ(Excelファイルも使用可能)や履歴データからクリック発信し、実際の通話は電話機で行える。ダイヤル操作の省略、誤ダイヤルの防止などの効果が期待でき、着信時もPC画面上に発信者名などがポップアップ表示される。
Salesforceとの連携機能も有し、簡易CTIも実現可能だ。また、Com@WILLにはデータ共有が可能なテレビ会議機能も備わっており、Webカメラを用意するだけで映像コミュニケーションが利用できる。
図表 IPstage1000の活用例 |