クアルコムが「Snapdragon」の“IoT版”投入 、米アローとタッグを組み新市場に挑む

クアルコムがスマートフォン向けチップセット「Snapdragon」のIoT市場への展開に本腰を入れる。10年間の販売継続を保証する“IoT機器向け製品”を投入。電子部品販売大手の米アロー エレクトロニクスを販売代理店として、新たな事業モデルを整備する。

携帯電話向け半導体大手のクアルコムが、多くのスマートフォン/タブレット端末に採用されているチップセット(SoC:System-on-Chip)「Snapdragon」の“IoT版”をリリースした。今回販売を開始したのは動作周波数1.2GHzのクワッドコアCPUを搭載する「Snapdragon 410E」で、1.5GHz仕様の「同600E」も近く投入する。

クアルコムは今年9月に、電子機器・システム販社大手の米アロー エレクトロニクス(Arrow Electronics、以下アロー)と世界規模の販売代理店契約を締結しており、アローグループ各社がそれぞれの国で410E、600Eを販売する。日本では同グループの2社、アロー・ユーイーシー・ジャパン(AUJ)が大口顧客への販売、チップワンストップ(C1S)が小口顧客向けのネット通販を担う。C1Sは10月14日に注文受付・出荷を開始した。

10月14日に都内で開催された記者発表会の冒頭、クアルコムの半導体部門(CDMAテクノロジーズ)の副社長を務める須永順子氏は「我々がこれまでモバイル業界で行ってきたビジネスのやり方では、無限の可能性を秘めたIoT市場にリーチできないことが分かってきた。今日はクアルコムが真剣にこのマーケットに取り組んでいくという決意表明をさせていただきたい」と述べた。

クアルコムは近年、高い処理能力と省電力性を両立させたSnapdragonのIoT市場への展開に力を入れていた。だが、クアルコムが携帯電話向けで採ってきた直販型の営業体制では、IoT市場の多様なニーズには対応できない。そこで今回Snapdragonでは初となる代理店販売に踏み切ったという。

IoT向けSnapdragonのコンセプト
IoT向けSnapdragonのコンセプト

410E/600Eは、スマホ/タブレット向けに提供されているSnapdragon 410/600をIoT機器用として販売するもので、処理能力や使用可能温度、消費電力などのスペックは同じ。大きな違いは、410/600のコマーシャルサンプルの出荷が開始された2015年から、10年後となる2025年まで販売・サポートを継続することを保証した点にある。携帯電話向けSoCの製品ライフサイクルは数年と組込み機器としては短く、IoT機器で利用するうえでネックになっていた。また代理店販売に切り替えることで、従来とは異なる契約・技術サポート体制を整備し、顧客ニーズに応える。少量販売にも対応し、C1Sのネット通販では410Eを1個から注文できる。

10年にわたる長期販売が最大の特徴
10年にわたる長期販売が最大の特徴

今回投入される410E/600EはBluetoothおよびWi-Fiの実装が可能だが、携帯電話のモデム機能は持たない。須永氏は「携帯電話機能の搭載はセンシティブな部分なので現在検討中」と述べた。実現に向けては、知的所有権の処理や携帯電話事業者のビジネスモデルとの整合性などが課題となるようだ。

410E/600Eの具体的な用途については、「監視カメラや医療機器、ホームセキュリティ、ホームハブ、パーソナルエージェントなど、ありとあらゆるところに使用できる合理的な機能と価格を備えていると考えている」と説明。「アローとタッグを組んで、無限大と言われているIoTの世界のニーズに全て応えるという心構えで新しい市場を切り拓いていきたい」と須永氏はプレゼンテーションを締め括った。

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