大手製造業を中心に、日本でもIoTの利用率が着実に向上しているようだ。
IDC Japanが2016年9月13日に発表した「国内IoT市場 企業ユーザー動向調査結果」によれば、国内企業のIoT利用率は5.4%となり、前年の調査から0.5ポイント増えた。また製造業以外の産業分野でも、IoTに対する認知度は高まっているという。
同調査は、IoT利用企業の産業分野を、①製造/資源セクター、②公共/インフラセクター、③金融セクター、③流通/サービスセクターの4つに分類している。
セクター別に見た場合、IoTの利用率が最も高いのは①製造/資源セクターで、利用率は8.5%。組立製造やプロセス製造分野を中心に、古くからさまざまな組込機器が活用されてきたことが関係しているという。製造/資源セクター以外の利用率は、②公共/インフラセクターが4.0%、③金融セクターが3.5%、④流通/サービスセクターが3.2%となった。
利用用途別では、M2M(Machine to Machine)時代の名残りとして、自社内の効率化/コスト削減を目的とした「社内用途」のIoTが全体の8割以上を占めた。一方、社外顧客へのサービス付加価値向上/新ビジネス創出を目的とする「社外用途」も徐々に広がりつつある。
また、IoTの導入・運用窓口については、事業部門の割合は約46%で、IT部門の約32%を上回る結果になったという。事業部門が主体となりIoTビジネスを加速するのに伴い、各産業分野に強みを持つ非IT事業者と企業の事業部門が密に連携し、新たなIoTのユースケースを創出するようなケースが増えるとIDCは見ている。
2016年の企業のIoT利用率(2015年との比較) |
Notes: ・左が今回の調査結果(n=4,517)。右が2015年8月に発表した調査結果(n=6,906) ・国内における従業員100名以上の企業が対象 ・Webアンケートにて「IoTを利用している」と回答した企業のうち、Webアンケートの自由記述欄に記載された、IoTの具体的な利用内容がIDCの定義するIoTと合致している企業を「IoT利用企業」と定義している ・本調査ではこうした厳格なフィルタリングを実施しているため、企業の実際のIoT利用率よりは少ない数字で利用率が算出されていると想定している。その一方で、こうした厳しい基準を設けているがゆえに、IoTを実際に利用している企業の産業分野別の利用動向や利用用途の傾向を正確に把握することが可能になっているとみている ・ビルの空調管理やテレマティクスなど、全ての産業分野に共通して使われる単純用途のIoTのユースケースはここでは除外 |