ドコモの農業IoTは第2ステージへ――ビッグデータ解析で酒米の高品質化にも挑戦

牛の分娩兆候をIoTで監視する「モバイル牛温恵」で、本格的に農業IoT市場に参入したNTTドコモ。さらに、おいしい米作りを支援する「PaddyWatch」も始まり、農業IoTのブレークを狙う。

就農人口の減少、さらにはTPP協議の妥結に伴い国際競争力の向上も求められるなか、農業分野でもIoTを活用して業務改革を図ろうとする動きが広がり始めている。この変化を捉え、農業IoT分野で意欲的な取り組みを進めているのが、NTTドコモだ。大手企業向けの営業活動を担当する法人第一営業部に2014年に設けられた「農業ICT推進プロジェクトチーム」が中心となり、モバイルネットワークを活用した「農業IoTソリューション」を全国展開している。

エグゼグティブプロデューサーとしてプロジェクトを率いる上原宏氏は「支社・支店では以前から、地域の特性に合わせた農業向けソリューションに取り組んできた。私は全国の地方銀行や信用金庫などの金融機関向けにモバイルソリューションを提案する仕事も担当しており、そうした事例を見聞きする中で、農業ICTを全国展開できる枠組みを作れれば一定規模のビジネスに育つのではと考えた」とこの取り組みの発端を説明する。

NTTドコモ 第一法人営業部 農業ICT推進プロジェクトチーム エグゼグティブ プロデューサー 上原宏氏
NTTドコモ 第一法人営業部 農業ICT推進プロジェクトチーム エグゼグティブ プロデューサー 上原宏氏

上原氏は「半ばボランティアのような形」で2010年頃から地域の有力金融機関でもあるJA(農業協同組合)へのソリューション提案やパートナーの開拓などの活動をスタート。ICTベンチャーのリモート(本社・大分県別府市)が開発した牛の分娩監視システム「モバイル牛温恵」をJAグループの全農畜産サービスを通じて全国展開することになったのを機に、2014年から正式なプロジェクトになったという。

図表1 「モバイル牛温恵」の販売網
図表1 「モバイル牛温恵」の販売網

上原氏を含め3名で発足したプロジェクトは、2年で本部14名と、支社・支店の約200名の営業社員からなるチームに成長した。

月刊テレコミュニケーション2016年7月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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