「IoTを利用して保守事業を差別化する」。こう話すのは、IHI物流産業システム(以下、ILM)サービス本部メンテナンス技術部コンピュータ技術グループ課長の森川信哉氏だ。自動倉庫の構築と保守を主要事業としているILMは、特に保守サービスの差別化を推進しようというのだ。
同社は、自動車、機械、流通など幅広い業種の企業に自動倉庫を提供している。しかし、近年は新規の構築案件が同業他社との厳しい受注競争にさらされている。
もう1つの事業の柱である保守事業を取り巻く環境も厳しさを増している。自動倉庫の保守を専門とする企業が新たに参入しており、競争が激化しているためだ。
IHI物流産業システムのサービス本部メンテナンス技術部コンピュータグループで部長を務める杉山良一氏(右)、同コンピュータグループ課長の森川信哉氏 |
そうした中、同社は保守事業を強化してさらなる成長を目指そうとしている。その基本的な考え方は顧客満足度の向上にあり、カギを握るのは倉庫の突然の停止を防ぐこと、そして保守コストを低減させることだ。それらを実現するために、事後保全から予防保全へと保守体制を転換させることを目指した。
自動倉庫の予防保全の実行基盤として開発したのが「IULINK(アイユーリンク)」だ。
2016年1月に本格稼働を開始したこの基盤は、ILMとユーザー(U)をつなぐという意を込めてネーミングした。IoT技術とデータ分析技術を活用して設備の故障予兆を検知し、自動倉庫の停止を防いで顧客にのしかかる物流コストの低減を実現する。