状態基準保全を導入し保守対応時間を劇的に短縮IoTの活用領域は広い分野に及びますが、当社は、(1)ホームオートメーションやセキュリティなどの「ホーム」、(2)コネクティッド・カーや運行管理などの「交通」、(3)遠隔医療などの「Eヘルス」、(4)スマートグリッド、スマートメーター、生産・ロジスティックなどの「製造&エネルギー」の4分野に特に注力しています。
これらの分野では、すでに多くの企業が私共のソリューションを活用して事業を展開しています。その中で産業分野でのIoTの活用という観点で興味深いものの1つに私共がSAPと取り組んでいる中国の大手建設機器・セメント会社のZoomLionの事例があります。
この会社では故障が発生してから車両を修理する対応型リペアを行っていたのですが、この手法では故障頻度が高くなり修理にも時間がかかるため、故障で車両が使えない時間が月平均30分に及んでいました。そこでファーウェイはSAPと共同で車両の情報をIoT-GWを介してクラウドに送り、この情報を解析して故障が発生する前に処置を行う状態基準保全(CBM)の導入を提案しました。CBMを導入したことで保守対応時間は平均月6分に短縮されました。このデータの解析にはSAPの高速データ処理技術HANAやデータウェアハウスのNetWeaverが用いられています。
ファーウェイは、プラットフォームや技術の提供だけでなく、ビジネス・コンサルティングやマネージドサービスなどのIoTの付加価値サービスを通じて通信事業者のIoTのビジネスをサポートしています。一部ではレベニューシェア型のビジネスも展開しています。
研究開発にも力を注いでいます。当社の15万人の従業員のうち7万がR&Dに携わっていますが、その中で2300人以上はIoT分野に特化して仕事をしています。100名以上が統合インテグレーション、エンド・エンドのソリューションの検証を行っています。
図表5 ファーウェイのIoT分野でのR&D活動 |
IoTビジネスは当社だけで取り組めるものではありません。オープンな協業体制・エコシステムを構築することが重要です。ファーウェイはインフラのイネーブラーという立場で、アプリケーションやデバイスなどの分野ではSAPやIBM、オムロン、ソニーなどの多くのパートナー企業と協力して事業を展開しています。日本の多くの企業にぜひ我々のパートナーになっていただき、新たな市場をともに創っていきたいと考えています。