IDC Japanは2010年7月26日、レイヤ4-7スイッチおよびWANアプリケーション配信の国内市場動向について発表した。企業の投資抑制の影響を受けた2009年、レイヤ4-7スイッチ市場が前年割れだったのに対し、WANアプリケーション配信市場は逆にこの投資削減傾向を追い風に堅調に成長した。

2009年の国内WANアプリケーション配信市場は、前年比12.6％増の96億3700万円だった。WANアプリケーション配信製品は、本格的な導入段階へと移行し、企業のWAN構築における1つの手法として定着してきたという。ベンダーシェアは、ブルーコートが首位を維持し、2位のリバーベッドもシェアを拡大した。IDCでは国内WANアプリケーション配信市場は今後、年間平均成長率3.6％（2009～2014年）で成長すると予測している。

一方、2009年の国内レイヤ4-7スイッチ市場は、前年比11.4％減の168億7700万円だった。レイヤ4-7スイッチが利用されるシステム構築需要の減退や企業の投資抑制の影響によるものだという。ベンダーシェアは、F5ネットワークスが40％を超える高いシェアポイントを獲得し、首位を保持。また、ノーテルネットワークスのレイヤ4-7スイッチ部門を買収したラドウェア、シスコシステムズ、A10ネットワークスがシェアを拡大した。

2010年の国内レイヤ4-7スイッチ市場は、1.1％増の170億6800万円の見込み。2009～2014年の年間平均成長率は5.4％と予測している。

IDC Japan コミュニケーションズグループ マーケット アナリストの草野 賢一氏はレイヤ4-7スイッチについて、「サーバーの負荷を低減するという本来の役割を担うべく、仮想化サーバー環境に適したレイヤ4-7スイッチの機能開発を進めるべきである。また、仮想化されたサーバー環境におけるメリットである、リソースの効率化利用やITシステムの迅速な展開といった効果を損なわないためにも、レイヤ4-7スイッチにおいても仮想化機能の実装と改良を進めるべきである」と分析している。