企業向けSDN市場の勝者は誰か?![最終回]――アライドテレシスのSDN戦略「攻め所はLANの入口」

企業ネットワーク向けSDN市場が本格的に立ち上がろうとしている。これまでの勢力図を大きく変える可能性があるSDNは、企業ネットワーク市場に長年君臨するシスコに一矢報いたいネットワークベンダーにとっては好機ともいえるが、具体的にSDNにどう取り組んでいるのか。最終回はアライドテレシスのSDNへの取り組みを紹介する。

既存スイッチにSDNをアドオンアライドテレシスの強みは、企業ネットワークのエッジスイッチや無線LANアクセスポイント、つまりLANアクセスの入口に製品を浸透させていることだ。アクセスを許可するか否かを決める条件を、こうしたアプリケーションと連動することで充実させれば、人事や情報システム部門の負荷を軽減する新ソリューションをアライドテレシスの既存ユーザーに安価に提供できるようになる。

SESの導入に必要なのは、エッジスイッチや無線AP用のSDN対応ファームウェア(予価5万5000円から10万円程度)と、SDNコントローラ(予価40万円から)で、その他のネットワーク機器を入れ替える必要はない。

なお、前述の(1)をすべて自動化するにはラクラスとクオリティサービスのアプリを合わせて利用する必要があるが、ユーザー企業が現在利用している人事管理システムと連携したり、必要な情報をExcel等でリスト化してSDNコントローラに流し込んで使うこともできる。

このSESは、OpenFlowによってエッジスイッチを制御することで実現しているが、これと、エッジ以外のOpenFlow非対応ネットワーク設備を統合管理する仕組みも提供する。

アライドテレシスは独自のネットワーク管理ソリューション「AMF(Allied Telesis Management Framework)」を提供している。AMFは、独自規格の管理用プロトコルを使って、ネットワークを構成している機器群の一括設定や一括アップグレード等を行うネットワーク一元管理の仕組みだ。SESを構成するOpenFlowスイッチや無線AP、SDNコントローラも、AMF配下で既存のネットワークと一元管理できる。

中島氏は、「AMFは一般的な企業にも、医療業界や教育、自治体にも浸透しており、そのお客様は既存のシステムにシームレスにSESを載せられる。これは我々の大きなアドバンテージだ」と語る。

SDNの本格普及へ離陸間近近ここまで見てきたように、NEC、日本HP、アライドテレシスの3社とも、既存ネットワークからSDNへの段階的移行、あるいは両者の融合を特に重視して製品・ソリューション開発を行っている。

さらに、ネットワークを従来の形からSDNに変えるというのではなく、SDNの技術を使って具体的な課題やニーズに対処する低価格なソリューションが充実し始めたことが注目だ。

期待感と物珍しさで盛り上がっていた時期は過ぎ、SDNは企業ネットワーク市場でも普及期に入ろうとしている。

月刊テレコミュニケーション2015年6月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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