――「フレッツ光」の卸売サービス「光コラボレーションモデル」(以下、光コラボ)が2月1日から始まりました。手応えはいかがですか。
村尾 NTTドコモやソフトバンクといった大手通信事業者が本格販売を開始したのが3月1日からということもあり、まだ立ち上がったばかりの状況で評価する段階にはありません。ただ、フレッツ光から光コラボ事業者の光アクセスサービスへ移行する際の「転用承諾番号」の払い出し状況を見ると、早くもそれなりに動き出しているように思います。
卸売は我々にとって初めての取り組みで、過去のトレンドがないだけに、事業計画などは走りながら軌道修正するしかないと考えています。
NTT西日本 代表取締役社長 村尾和俊氏 |
――コンシューマー向けの直販および代理店販売から卸売り販売という“歴史的大転換”の背景をあらためてお聞かせください。
村尾 昨年5月に発表する1年以上前から、NTT持株とNTT東西の3社でフレッツ光の販売のあり方について議論を続けてきました。特に我々西日本の立場から見ると純増数が頭打ちで、売っても売っても他社に持っていかれる「オセロゲーム」のような状態が続いていました。次のステップを探さなければいけない、という問題意識は3社とも共通して持っていました。
純増数が伸びなくなってきた背景には、大きく2つの要因があります。第1に、ここ数年でスマートフォンやタブレットの普及が進み、ネットワークの利用環境が大きく変化したことです。
フレッツ光の契約者数は東西合わせて約1800万契約で普及率は約60%ですから、まだまだ伸びる余地があるように見えるかもしれません。しかし、その隙間を埋めているのはスマートデバイスであり、「光はなくてもスマートデバイスでインターネットに接続すれば十分」という方が増えています。
第2に、販売コストをかけても歩留りが悪いことです。年間で、新規販売は百数十万あるのですが、残るのは数十万程度にすぎません。
いつまでこのビジネスモデルを続けるのか3社で議論した結果、代理店経由のコンシューマー向け販売を縮小させ、より多くのプレイヤーに光を普及してもらえる卸売モデルに移行することを決めました。