郵便局×オンライン診療の現在地 地域医療インフラとしての新たな役割と成果

医療資源が不足する地域において、郵便局を拠点としたオンライン診療の取組が広がっている。各地での実証と実装の動向から、その意義と今後の展望を整理する。

6. 総括

このように、郵便局でのオンライン診療・服薬指導は、関係者の創意工夫と努力の中で、各地で取組が開始されている。患者、医師、看護師、薬剤師の方々にとって、距離的な懸隔が克服され、コストと時間の配分でメリットが生じている。

追加費用負担について、周南市、柳井市で、患者の負担を減らす取組がなされているように、各地域で、行政の理解とサポートも不可欠であることが分かる。

平郡郵便局では、患者・薬剤師間のコミュニケーションで字幕スーパーが活用されていたが、こういった患者と医師・薬剤師の間のインターフェースを円滑化させる工夫の余地は様々にあるだろう。また、ソフトやアプリの改善による情報伝達の更なる円滑化に向けた改善も、期待できるのではないだろうか。

よく言われるように、地域住民の医療の確保という命題にオンライン診療が全ての答えとなるわけではない。オンライン診療では、触診等ができず、医師が診療に必要な情報が十分得られない面もある。しかしながら、オンライン診療と対面診療を効果的に組み合わせることで、地域の医療需要に応える方途が拡がることは間違いない。

既存の診療所が身近にない住民の方は全国に多い。アクセスの容易な郵便局がオンライン診療の機能を提供できることで受診機会を得られることになる方は少なくないだろう。

郵便局は、全国に約2万4千局が展開され、その拠点が住民の身近にある。その場所でオンライン診療を行う場合に、そのサポートをする局員の方がおり、また、診療費の収納をする決済機能(ゆうちょ銀行)と、薬を受け取るための集配機能(ゆうパック、レターパック等)を活用することができる。これらが機動的に機能を発揮できるような制度枠組みやその運用を工夫していく必要がある。

月刊テレコミュニケーション 2026年5月号の記事を再構成]

藤野克(ふじの・まさる)

内閣審議官 内閣官房郵政民営化推進室長。博士(学術)。総務省郵政行政部長、大臣官房総括審議官などを経て現職。著書に『情報通信ルールの国際競争 日米のFTA 戦略』(早稲田大学学術研究書出版奨励賞)、『インターネットに自由はあるか 米国ICT政策からの警鐘』2012年度大川出版賞)、『電気通信事業法逐条解説再訂増補版』(共編著)がある。

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