「農業M2Mの目的は可視化ではない」――IoTで農作業の自動化に挑む

「いかに作業を省力化するか」――。日本農業の課題に挑むルートレック・ネットワークスはM2Mとクラウドで、土壌の状態をセンサーで把握して水と肥料を自動供給する仕組みを実現した。

農作物の販路拡大の支援も

ZeRo.agriを利用している農家は群馬県や福島県のトマト農家など20カ所にのぼる(導入予定を含む)。

栃木県のある農家は、「根拠のある農業ができるようになった」と話し、クラウドに蓄積したデータを参照して生産技術に磨きをかけようと考えているという。生育環境を可視化した効果だ。

農作業の自動化も大きな効果を上げている。稲の育苗に労力を費やす時期にはトマトなど他の作物に対する施肥と灌水が後回しになることもあったという農家は、ZeRo.agriの導入によって「毎日、適正な量の培養液が供給できるようになり作物の生育が改善した」と話しているという。自動化が品質を改善し、それが収穫量の増大にもつながるだろうとこの農家は期待する。

ルートレック・ネットワークスは、農家が実現するであろう収穫量の増大に対応するサービス体制も提供しようと考えている。その1つがeコマースの機能を提供し、増加した分の作物の販路をつくることだ。

販路や営農指導の面で重要な役割を担うJAとのコラボレーションも推し進める。また、世界最大の土耕栽培用の資材メーカーであるイスラエルのネタフィム社と提携し、国内の農家に栽培システムを提供するとともに海外展開も視野に入れ、ZeRo.agri関連事業で3年間に10億円の売上を目指している。

月刊テレコミュニケーション2014年7月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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