「農業M2Mの目的は可視化ではない」――IoTで農作業の自動化に挑む

「いかに作業を省力化するか」――。日本農業の課題に挑むルートレック・ネットワークスはM2Mとクラウドで、土壌の状態をセンサーで把握して水と肥料を自動供給する仕組みを実現した。

M2Mの開発コストを半減

同社の発足は2005年。当初からM2M技術を核にして事業を開始した。ルーターのリモート監視機器を開発して金融機関や自治体に提供。2008年には、自動販売機や体重計などに組み込むWi-Fi無線モジュールの開発・提供に乗り出した。

続いて取り組んだのがM2Mプラットフォームの開発だ。

「Wi-Fi無線モジュールの引き合いは活発だったが量産に結びつかなかった」と佐々木氏は振り返る。問題は同社が提供するM2M部分にあったのではない。機器側からM2Mで送信されるデータを受信して蓄積し、そのデータを業務サーバーへと受け渡すシステム開発をSIerに依頼すると数千万円のコストが発生すると判明。それが、顧客企業・団体がM2Mの導入に二の足を踏んだ理由だった。

M2Mシステムが普及するには、スモールスタートできる仕組みが不可欠と考えた同社は、データを受信・蓄積する機能から業務サーバーの領域まで包含するM2Mプラットフォームの開発・提供に乗り出した。

出来上がったのが、「ZeRo」と名付けたM2Mプラットフォームである。これは、Wi-Fi無線モジュールからデータを受信し、それを蓄積・検索する機能や、機器のステータス管理・リモート制御などの機能も持つ。

さらに、ユーザーの業務システムと連携するための標準的なAPIを用意。これらによって、「従来の2分の1以下」のコストでM2Mシステムの構築が可能な仕組みを実現した。

月刊テレコミュニケーション2014年7月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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