【全社員1000名にiPhone導入】ブリティッシュ・アメリカン・タバコが目指すのは“人中心”のiPhone活用

世界第2位のタバコ会社の日本法人であるブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパンは、全社員約1000名にiPhoneを導入している。これは同社グループ内でも世界初の試み。スマートフォンの業務活用への期待が世界中で高まるなか、「日本がモデルケースになっていきたい」という。

英ロンドンに本社を置くブリティッシュ・アメリカン・タバコ・グループは、世界190カ国以上に展開する最も国際的なタバコ会社だ。ワールドワイドでのマーケットシェアは第2位。日本では「ケント」や「クール」「ラッキー・ストライク」などのブランドがよく知られている。

その日本法人であるブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパンには約1000名の社員がいるが、同社は昨年12月からiPhoneの導入を開始。今年2月に全社員への配布を完了した。世界190カ国以上でビジネスを行うブリティッシュ・アメリカン・タバコ・グループの中にあって、全社員にiPhoneを導入したのは日本が初となる。

ブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパン IT サービスコーディネーター ジャパンの大内健一朗氏(左)と、人事担当でマネジメント トレーニーの清 祐貴氏。清氏はiPhone導入の際のプロジェクトメンバーとして、iPhoneによる社員の生産性向上に取り組んでいる

意外に高くなかった全社員へのiPhone導入コスト

iPhone導入のきっかけは、フィーチャーフォンの契約が更新時期を迎えたことだった。

「市場を見るとスマートフォンが普及しており、『我々もどこかのタイミングでスマートフォンを導入するだろう』というのは、念頭にありました。ただ、その導入時期が今なのか。検討には多くの時間を費やしました」とIT担当の大内健一朗氏は説明する。

最大の検討課題の1つとなったのは、やはりコストだ。同社では従来からフィーチャーフォンを全社員に配布していたが、これをスマートフォンにすべて切り替えれば、当然コストは増大する。

全社員にスマートフォンを配布すべきなのか、それとも部門や職位ごとに考えるべきなのか――。

いくつかのシナリオを作成したうえで検討を進めたというが、「スマートフォンを持っている/持っていないで社員の業務効率に差が出るのはよくない」という議論があったのに加えて、経営層もスマートフォン導入に意欲的だった。

そして、コストについても、詳細に計算していくと、意外に高くならないことが分かった。

「一部の社員にモバイルデータ通信カードを配布していましたが、スマートフォンにすれば、テザリング機能で代用可能になります」。さらに、携帯キャリアの統一、通話時間や通信先など、現状の通信状況についてフィーチャーフォンを契約していたKDDIに仔細に分析してもらったところ、契約内容の見直しによって、コストに大きな変動がない見通しがつき、最終的にスマートフォンを導入することになった。

iPhoneを選択した理由の1つはセキュリティ面だという。「検討当時、Androidには脆弱性のところで不安がありました」

通信キャリアは、フィーチャーフォンと同じくKDDIを選択した。

「スマートフォンは、従業員の生産性を大きく向上させる可能性を秘めています。しかし、当社は、テクノロジーを駆使してビジネスを推進する企業ではなく、IT部門もスマートフォンに関する知見を十分に持っているわけではありません。そこでコストだけではなく、ITパートナーとしてのソリューション力も重視しましたが、各社から頂いた提案の中で最も具体的だったのがKDDIでした」

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