<連載>AIインフラの新潮流ソブリンAIを徹底解説 フィジカルAIの本格普及を下支えする

日本でもソブリンAIの取り組みが加速し始めた。政府がAI基本計画を閣議決定し、1兆パラメーター級の国産モデルの開発も現実味を帯びてきている。こうした流れは、フィジカルAIの本格普及を後押しするはずだ。

AIガバナンスの構築が不可欠

AI基本計画の③では、AIの適正性を確保するためのガバナンス構築を目指す。AIモデルの安全性評価などを担う政府機関「AIセーフティ・インスティテュート(AISI)」の機能拡充、ディープフェイクやAIを悪用したサイバー攻撃・詐欺への対応、ASEAN等との国際協調によるガイドライン策定などが盛り込まれている。

④については、人とAIが協働する社会の実現に向け、産業や雇用の在り方、制度や社会の仕組みなどの変革を推進する。具体的には、従業員へのAIリスキリング支援や、AIリテラシーの向上に向けた初等中等教育の整備などが挙げられている。

産学連携の動きも進む。例えばNECと東京大学は今年3月、AIとの共生社会の実現に向けて「NECラボ」を設立。産業界のリーダーや倫理学者等と議論を重ね、AIの社会実装に必要な法制度やルール作りに取り組む。「信頼できるAIの標準や運用の枠組みを構築し、それを『日本発のモデル』として海外展開していくことが日本の学術機関やICTベンダーに求められる」と藤吉氏は期待する。

AI基本計画の4本柱が揃えば、フィジカルAIの本格普及に向けた基盤も整う。「ソブリンAIは、自国文化への適合性や学習データの透明性、安定稼働を重視するが、これらはフィジカルAIに求められる要件とも一致する」と田邉氏。国産LLMやAIインフラの整備が進み、さらに日本が強みとするロボティクスの知見が融合すれば、国内におけるフィジカルAIの社会実装も加速していくはずだ。

月刊テレコミュニケーション 2026年5月号の記事を再構成]

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