空室が増える都心ビルをデータセンターに転換 MiTASUNが仕掛ける都市型DC構想

大林組の子会社MiTASUNが都市型DC事業に乗り出している。都心の中規模ビルを小規模DCに転換し、光ファイバーで直結してDC群を構築する構想「HUBWAY」の狙いを聞いた。

小規模分散だからこその強み

小規模DCをクラスター化するメリットとしては、最新の技術トレンドに追従しやすいこともあるという。

今、サーバーの冷却方式は空冷から水冷、さらに液浸冷却への移行が進んでいるが、今後も技術トレンドは変わっていくだろう。大規模DCは、小規模DCと比べて、建設にも満床になるまでにも相応の時間を要する。その間にサーバーのチップは世代交代し、1台あたりの消費電力や発熱量は変わっていく。

ところが建物の冷却設備は着工時の設計で固定されているため、綱脇氏は「数年後に入居するサーバーは発熱量が当初の想定を超え、建物側の冷却能力が追いつかなくなるといったリスクがある」と指摘する。リードタイムが比較的短いHUBWAYのような小規模分散型であれば、こうした問題を回避しやすい。

さらに綱脇氏はこうも言う。「将来サーバーがダウンサイジングすれば、コンビニの冷蔵棚の一角がサーバースペースになる時代が来るかもしれない」。前述の通り、HUBWAYの本質は建物ではなくネットワークにある。「ビル間を直結した光ファイバーネットワークさえあれば、そうした変化にも対応できる」

2031年度までにDC群を構築

現在進行中のプロジェクトは、東京都港区三田の既存ビルを建て替えるもので、受電容量は6.5MWだ(図表3)。また、中央区日本橋の既存ビルを改修し、受電容量は7MWを予定している。2029年以降、こうした小規模DCを束ねて、2031年度までに40MW級のDC群構築を目指す。

図表3 都市型データセンターの構想外観

図表3 都市型データセンターの構想外観

まずは需要が集中する首都圏で事業モデルを確立するが、その後、関西圏、さらに札幌・仙台・名古屋・福岡といった拠点都市へ段階的に横展開していきたい考えだ。政府はワット・ビット連携のもと、DCの地方分散を推進しているが、「HUBWAYの小規模分散の仕組みは、地方都市にもそのまま適用できる」と綱脇氏は説明する。

「通信なくしてHUBWAYは成り立たない」。建設業から生まれたDC事業者が、通信業界とどのような協業関係を築いていくのか。その行方に注目したい。

月刊テレコミュニケーション 2026年4月号の記事を再構成]

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