「AIバブル崩壊の先に10兆円市場がある」JDCC田中邦裕理事長が語る既存インフラ依存からの脱却

2030年から2035年にかけて15~20ギガワット(GW)の電力消費が新たに発生し、5~10兆円規模の投資が見込まれる――。2026年3月24日~25日に開催されたData Center Japanの基調講演において、日本データセンター協会理事長を務める田中邦裕氏はAI産業の拡大に伴うデータセンター需要の増大と、それに伴う投資額について予測した。AI開発にはGPUをはじめとする計算基盤が不可欠であり、計算資源の確保が国の行く末を決める「経済安全保障」の核心であると強調した。

「AIバブルはそろそろ崩壊する」

ただし、田中氏はこうも予測した。「AIバブルはそろそろ崩壊し、たくさんの会社が潰れる。しかし、それを乗り越えた会社は5年後、10年後に、育った人材をベースとして、現在とは比べ物にならない規模のデータセンターをオペレーションする」

1990年代にコンピューターの置き場所、電算室としてスタートしたデータセンターはその後、情報通信基盤、インターネットサービスの基盤として成長。2000年代の「データセンターバブルで多くの会社が潰れたが、そこで活躍されていた人材が今、この業界を支えている」。

こうした歴史が再び繰り返されるというのが田中氏の見方であり、AIバブルは崩壊するものの、AIインフラへの投資の重要性は変わらないという。

現在のデータセンター業界を支えているインフラは、土地にしても発電所や送電網にしても「50年前、60年前に計画され、先人が作ってくださったもの。その古いインフラを安く使える状態を、我々はこの10年享受してきた」。例えば、“データセンター銀座”と呼ばれ注目を浴びる千葉ニュータウンエリア(千葉県白井市、船橋市、印西市)も、さくらインターネットを含めたデータセンター事業者が続々と進出している北海道の石狩・苫小牧エリアも、不動産バブルの崩壊や第三セクターの破綻によって用地が「非常に安く買えた」。

電力インフラも同様だ。

東日本大震災が起こった2011年以降、日本の電力消費は減少が続き、2023年度に最低水準となった。データセンターが消費する電力はこれまで既存の電力インフラで十分に賄えてきたが、これからは違う。2025年2月に政府が発表した「第7次エネルギー基本計画」は、データセンターが牽引するかたちで電力消費が増加することを前提としており、既存の電力インフラに頼っていては発展は望めない。

「新たに電力を使うデータセンター自身が、発電・送電に対してコミットしていかないといけない」と田中氏。「先人が作ってくれたインフラを活用するのではなく、我々が新たに、50年後の方々のためにインフラを新たに作っていかなければならない」と、AIサプライヤー業界のプレイヤーへ呼びかけた。

データセンター・計算資源は「産業のコメ」

このように、データセンター業界を取り巻く環境の変化を語ったうえで、田中氏は、データセンターとそこで提供される計算資源は今や“情報通信基盤”や“インターネットサービスの付随施設”の位置付けではなく、「産業のコメ」としてAI開発や経済活動に不可欠な最重要の社会インフラとなったことを強調した。AIは今後あらゆる経済活動の基盤となり、そのAI開発を支える「計算基盤がなければ、何も作ることができない状態になる」。

データセンターは国家の計算基盤を支える最重要インフラとなる

データセンターは国家の計算基盤を支える最重要インフラとなる

かつて産業のコメと呼ばれた石油や鉄に代わり、現在はGPUをはじめとする計算資源がその役割を担う時代へと私たちは突入しようとしている。「計算資源をいかに国内にもたらすかが、国の行く末を決めるほどに重要なポイントになってきた。だからこそ、この産業は伸びるし、伸びるということは投資したほうが絶対に勝つ」と田中氏はまとめた。

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