ソリューション特集光ファイバーセンシングの現在地 グローバルでは鉄道会社やガス事業者らが本格導入

全国に張り巡らされた光ファイバーを「センサー」として活用する動きが広がっている。グローバルでは、鉄道やガスといった社会インフラ分野で導入が進み、国内でも実証プロジェクトが相次いで立ち上がっている。

「地中空洞検知PJ」がスタート

また、国内では鉄道に留まらず、道路や橋梁のモニタリング用途でも光ファイバーセンシングが果たす役割は大きいと期待されている。人手による監視を効率化・高度化できるだけでなく、昨年1月に発生した埼玉・八潮市の道路陥没事故のような重大事故を未然に防ぐ手段としても注目が集まっている。

この事故から約2週間後、NTT東日本は「地中空洞検知プロジェクト」を立ち上げた(図表4)。具体的には、大型地下埋設管と並行して敷設されている光ファイバーにセンシング装置を取り付け、自動車の走行などで生じる微小な振動を常時モニタリング。振動データを時系列で蓄積・分析し、通常とは異なる変化が現れた場合に、路面下に空洞が生じている可能性があると判断する。

図表4 光ファイバーセンシングによる地中空洞検知のイメージ

図表4 光ファイバーセンシングによる地中空洞検知のイメージ

NTT東日本の佐々木氏によれば、実証開始当初は埼玉県の一部エリアを対象に検証を行っていたが、「今後は対象エリアを広げ、東京都を含む複数の自治体と実証を進めていく」という。

鹿島建設は、徳島市の吉野川サンライズ大橋に敷設された「SmARTストランド」を用い、橋梁の維持管理に関する実証に取り組んでいる。SmARTストランドは、光ファイバーを実装したPCケーブル(高強度の鋼材を用いたケーブル)で、住友電工が開発を担う。ケーブルの歪みを捉えることで、張力の異常やひび割れの兆候を把握し、橋梁メンテナンスに役立てられることを確認した。

昨年6月には、阪神高速道路に光ファイバーを敷設し、シャトルバスや実験車両を走行させる実証実験をSUBARUと共同で実施。走行荷重による振動や歪みを検知・計測し、道路および交通管理に資するモニタリングを行った。また、光ファイバー経由で取得した車両の位置情報を自動運転車両へ共有し、側道から本線へのスムーズな合流支援を行えるか、検証を行っている。

(左から)光ファイバーセンシングを用いた路車協調型自動運転の実証実験を行う様子、光ファイバーケーブルの敷設位置(イメージ図) 出典:鹿島建設

(左から)光ファイバーセンシングを用いた路車協調型自動運転の実証実験を行う様子、光ファイバーケーブルの敷設位置(イメージ図) 出典:鹿島建設

海底ケーブルの状態把握に活用

脱炭素化や再エネ活用の流れを受け、海に囲まれた日本では洋上風力発電所への期待が高まっている。ただ、海底に埋設された送電ケーブルは、潮流等で海底面が削られて海中に露出してしまうおそれがある。また、風車周辺は構造上ケーブルを埋設できず、露出を余儀なくされるケースも存在する。このような区間においては、潮流によって流れてきた岩石などと接触し、ケーブルの損傷につながる可能性もある。

こうした課題の解消を目指し、NECは光ファイバーセンシングを活用した送電ケーブルの状態把握に関する実証を実施。埋設深度やケーブルに伝わる振動をモニタリングできることを確認した。光ファイバーセンシングで異常の兆候を早期に把握することで、長期間の稼働停止リスクや海中点検に伴うコストの削減につながると期待される。

OKI、損害保険ジャパン、SOMPOリスクマネジメントの3者も昨年2月、光ファイバーセンシングを用い、洋上風力発電所向け送電ケーブルの異常予兆に関する検討を開始した。

錨の投下や底引き網漁による振動など、ケーブル損傷の原因となる事象をリアルタイムで検知・発報する仕組みを整備するほか、事故抑止および被害軽減に向けたアドバイスの提供、異常予兆検知サービスを付帯した新たな保険商品の開発などの検討を進めていくとのことだ。

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