ランサムウェア被害拡大の裏で進む「AIの悪用」 トレンドマイクロが最新動向を解説

「攻撃者グループは使えるものなら何でも使う。AIの悪用は確実に進む」。トレンドマイクロでセキュリティエバンジェリストを務める岡本勝之氏は、2025年のサイバー攻撃においてAIが悪用された“証跡”が垣間見えると指摘する。AIは着実にサイバー攻撃者の武器となりつつあり、さらに、企業等が活用するAIシステム自体への攻撃リスクも増大しているという。

「2025年は表面上、ランサムウェアによる大きな被害が継続し、その裏ではAIの悪用が進んだ年だった」

トレンドマイクロ セキュリティエバンジェリストの岡本勝之氏は、2026年1月28日に開催した「2025年詐欺リスク・サイバーリスク総括セミナー」で、サイバーリスクの最新動向についてそうまとめた。

トレンドマイクロ セキュリティエバンジェリストの岡本勝之氏

ランサムウェアの被害は世界中で拡大しており、日本国内でも2025年に87件の被害が公表されている。アサヒグループHD(2025年9月)やアスクル(同10月)が受注・出荷業務停止に追い込まれたことは記憶に新しい。

ランサムウェア攻撃者グループが運営しているリークサイトでは、海外子会社・拠点を含む日本関連の組織に対して攻撃を行ったと主張するリーク(情報流出)数が2025年中に96件確認されているという。前年の59件から大幅な増加だ。

ランサムウェア攻撃者が主張する日本への攻撃

ランサムウェア攻撃者が主張する日本への攻撃

ただし、同リークサイトでは世界全体で7759もの組織がリークされており、日本関連が占める割合は1.2%に過ぎない。岡本氏は「日本が狙われている、というわけではない」としたうえで、サイバー攻撃者グループは常に攻撃しやすいターゲットを探し続けており、「弱点を見せないことが大切」と指摘した。

例えば、最近では基幹システムのクラウド移行を背景としてデータセンター/クラウドの仮想環境を狙うランサムウェアが増えており、そうした新たな攻撃手法への対応が重要という。

AIの悪用は「可能性」から「実際の脅威」へ

トレンドマイクロに限らず、セキュリティ対策ソリューションを提供するベンダー各社はかねてより、サイバー攻撃にAIが悪用される可能性を指摘してきた。岡本氏はそれがいよいよ顕在化した“証跡”として、複数の実例を挙げた。

1つは「AI駆動型マルウェア」の登場だ。「PromptLock」「LAMEHUG」というマルウェアのコード内に、LLMを利用したバイブコーディングに関するプロンプトの存在が確認されたという。バイブコーディングとは、開発者がコードを書かずに、自然言語でAIに指示を出すことでアプリケーションを構築する開発手法のことだ。

AI駆動型マルウェア

AI駆動型マルウェア「PromptLock」「LAMEHUG」

PromptLockはシステム情報を収集し、ファイル/ディレクトリのリストを表示したうえで、潜在的に機密性の高いファイルを特定。そのファイルを取得して暗号化や情報流出、消去を行い、身代金要求のメモを作成する。これは実証実験的に使われたに過ぎないが、LAMHUGに至っては、ウクライナの政府機関を標的としたサイバー攻撃に用いられた実績がある。

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