ICT技術解説[第5回]超話題の「iBeacon」を徹底解説――O2Oの本命となるか!?

アップルがiOS 7から搭載した新機能「iBeacon」に注目が集まっている。スマートデバイスユーザーの位置情報を活用してクーポンをプッシュ発信できるなど、O2O用の技術として期待が高まるiBeaconの仕組みや他の技術との違い、実用化状況などを徹底解説する。

4.iBeaconの実用化状況

2013年9月にリリースされたiOS 7の新機能であるiBeaconは、まだ登場から間もないが、冒頭に紹介した米Apple Storeにとどまらず、実用化が進んでいる。

例えば、米MLB(Major League Baseball)は2014年シーズンから20の球場でiBeaconの導入を予定しており、ニューヨークメッツのシティフィールドでサービスのデモが実施された。iPhoneを持ってスタジアムに近づくと、まず今日の対戦情報をポップアップで教えてくれる。次にスタジアムのゲートに来ると、今度は入場用のバーコードがiPhoneに表示され、座席の場所を教えてくれる。そして、スタジアム内のショップのそばを通りかかると、「ホットドッグが2ドル割引」になるクーポンがプッシュ送信されるといった具合だ。

iBeacon iBeacon
MLBのiBeaconアプリの画面イメージ[出所:http://mashable.com/2013/09/26/mlb-at-the-ballpark-app/

また、ニューヨークの百貨店Macy’sでは、入店を検知してクーポンやオススメ商品情報などを提供するiBeaconサービスを実施している。

一方、国内でも、ビックカメラが同社のスマートフォン向け来店促進アプリ「スマポ」のiOS版にiBeaconを利用している。このサービスはビックカメラ有楽町店で提供されており、有楽町店に近づくと来店ポイントが貯まるメッセージがプッシュ配信される。

5.iBeacon普及にあたっての課題

iBeaconの利用にあたっては、セキュリティ上の問題も指摘されている。その代表例が「偽Beacon」問題だ。

Beacon端末が発信しているID情報は誰でも簡単に受信し、同じIDを使うことができる。つまり、容易に“なりすまし”が可能だ。

このため、例えばアプリックスではすでにIDの不正利用を防止するサービスの提供を発表している。iBeaconの本格的に普及するには、こうしたセキュリティへの取り組みが進展することも大切になってくるだろう。

[連載目次]ICT技術解説

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