AWSは空孔コアファイバーを“数千キロ”に渡り実装 フィジカルAI開発支援も開始

2026年はAWSのサービス開始から20年、東京リージョン開設から15年となる節目の年だ。そこでAWSジャパンは、技術、信頼性、人と社会の3つの面で投資を強化する。なかでも注目されるのが、技術面におけるフィジカルAI開発支援プログラムの開始と、信頼性の面での空孔コアファイバーの実装拡大だ。

空孔ファイバーをすでに実装 遅延改善効果は30%

信頼性への投資では、AIワークロードを支えるインフラ基盤の強化について紹介された。AWSは現在、世界39リージョンでクラウドサービスを提供しており、今後はサウジアラビアとチリでの新リージョン開設を計画している。過去1年間で追加したデータセンター容量は3.8ギガワットに上り、世界最大規模だという。

日本においては東京・大阪の2リージョン体制によって国内で冗長構成が可能だ。各リージョンは、物理的に分離された複数(最低3つ)のアベイラビリティゾーン(AZ)で構成される。AZは独立した電源やネットワークを備え、AZ間は冗長化された回線で相互接続されている。

データセンター間は冗長化された光ファイバーケーブルで接続され、グローバルの総延長は900万キロを超える。このデータセンター間通信をより高速化するために、AWSでは中空構造を持つ「ホロコアファイバー」の実運用を始めている。

次世代ネットワーク技術として、空孔構造を持つ「ホロコアファイバー」の概要を説明するスライド。2024年に開発を発表し、遅延や損失など複数の観点で従来の光ファイバーより優れた性能を発揮することを示している。データセンターネットワークに数千キロメートル規模で実装され、遅延速度を約30%改善したと記載されている。中央に中空構造を持つファイバー断面の模式図が描かれている。

空孔構造を持つ「ホロコアファイバー」の構造

ホロコアファイバーは中心部に空孔(中空コア)を持つ光ファイバーで、光信号をガラスではなく空孔内を通して伝搬させる点が特徴。空気はガラスより屈折率が低いため、信号伝搬の遅延を抑えられる。常務執行役員 技術統括本部長の巨勢泰宏氏は「遅延速度を約30%改善できた」と説明。2024年のイベント「re:Invent」で開発を公表して以降、すでに数千キロメートルにわたってデータセンターネットワークへ実装しているという。

ホロコアファイバーの効果として大きく期待されているのが、AZ間の距離制約が緩和されることによる、AZの立地条件の柔軟性向上だ。AZを増設しやすくなれば、インフラ全体のレジリエンスがより強化されることになる。

ホロコアファイバーがアベイラビリティゾーン(AZ)の設計に与える効果を示したスライド。遅延速度の改善によりAZ間の遅延限界が拡張され、高可用性を維持したままAZ間の物理的距離を広げられることを説明している。これにより、地理的観点でAZ建設の対象エリアが拡大することを示す。従来のAZ遅延限界と、ホロコアファイバー実装時の拡張された遅延限界を図で比較している。

ホロコアファイバーによりアベイラビリティゾーンの地理的制約が緩和

巨瀬氏によれば、光ファイバーがすべてホロコアファイバーに転換されるわけではないが、既存のガラス製光ファイバーをホロコアファイバーに置き換える作業は比較的容易であるといい、今後の展開が期待される。

ガバクラ導入を重点的に支援 職員向けトレーニングも実施

「人と社会への投資」の面では重点施策の1つに挙げられたのがガバメントクラウドの導入支援だ。

常務執行役員 パブリックセクター統括本部 統括本部長の宇佐見潮氏は、官庁、地方自治体、パートナー企業との連携を強化し、自治体職員への無償トレーニングや、ガバメントクラウドの運用ワークショップを継続して実施していく方針を示した。教育・医療機関との連携にも引き続き注力し、「地域創生、ひいては日本全体の活性化に役立てるようにしたい」と宇佐美氏は展望した。

AWSジャパンによる「人と社会への投資」の取り組みを示すスライド。ガバメントクラウドの導入定着をはじめ、自治体との連携による地域創生支援、教育・研究機関との連携による科学技術振興、医療機関のDX支援による医療従事者の負担軽減といった取り組みが列挙されている。右側には、自治体や教育機関、医療機関との連携を示す協定締結時の写真が掲載されている。

「人と社会への投資」ではガバメントクラウドの導入支援に取り組む

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