ソリューション特集映像伝送IP化が生む新しい価値 高画質化、AI活用、人手不足─現場の課題を解決

映像伝送のIP化は、高品質と低コストを両立する手段として、制作や監視などさまざまな現場で新たな価値を生み始めている。リモート制作やクラウド活用といった最新の取り組みをレポートする。

映像伝送はアナログからデジタルに移行するのが時代の流れだが、これは単なる伝送経路の置き換えではない。映像制作や利活用の幅を大きく広げるための基礎的な条件だ。

NTT西日本グループは2025年11月13日、大阪・関西万博の会期中に実施されたリモートプロダクションの取り組みの成果を報道発表した。

発表によると、このリモートプロダクション環境は万博会場・データセンター・放送局を「All-Photonics Connect powered by IOWN」で結び、スイッチャーなどの主要機材をデータセンター側に配置するという構成。スイッチャーはパナソニック コネクトの「KAIROSオンプレミス」を使用し、各局のスタッフは局舎から遠隔で制作作業を行う構成を採った(図表1)。設備の構築・運用はNTT西日本グループ(NTTビジネスソリューションズ、NTTスマートコネクト)が担った。

図表1 大阪・関西万博における共同利用型リモートプロダクションの全体構成

図表1 大阪・関西万博における共同利用型リモートプロダクションの全体構成

同実証では、All-Photonics Connectを2経路利用し冗長構成を組んだ。IOWN APNはSMPTE ST 2110による非圧縮の映像の伝送に加え、時刻同期信号の配信や制御系通信にも用いられ、リモートプロダクションが支障なく行えたという。

取り組みのポイントの1つが、この設備をNHK大阪、朝日放送(ABC)、関西テレビ、読売テレビで共有する「共同利用型」の構成を取ったことである。これにより、放送局の設備投資や維持コストの最適化の可能性が確認された。

また、運用面では以下のようなメリットも挙げられている。遠隔地間でもインカムにより遅延のない音声通話が可能になり、拠点間の円滑なコミュニケーションが実現したこと、撮影から番組制作・送出に至る一連の制作工程を遠隔地から支障なく実施でき、一貫した制作ワークフローが確立したこと、接続先の拡張や各種の設定変更に柔軟に対応できることなどだ。

IOWN回線の運用コストやリモートプロダクションのシステムなど課題はあるものの、この方針で進化すれば「中継車レス」でのスポーツや大型イベントの生中継も実現が近付くだろう。

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