<連載>フィジカルAI、産業DXのためのローカル5Gローカル5Gの“切り込み隊長”は電子決済 スポーツ/イベントの高密度環境で安定通信

安定した通信環境を提供できるローカル5Gの利点を発揮しやすいイベント会場。スポーツや音楽フェス等のイベントで今や不可欠なキャッシュレス決済が、とりわけ導入の切込み役となっている。

入場管理・電子決済が安定化

木村氏によれば、意外にも、小容量データを扱うキャッシュレス決済も、スタジアムやイベント会場でのローカル5G導入を後押ししているという。

今やキャッシュレス決済はイベントに不可欠。1つ1つは小容量だが、低遅延で安定した通信環境が求められ、こうしたニーズにローカル5Gがマッチする。上記のハンドボール試合会場でも、ローカル5G通信をキャッシュレス決済に使っている。

J1リーグ所属のサガン鳥栖を運営するサガン・ドリームスは2024年に、MOREVEのキャッシュレス決済サービスを採用し、駅前不動産スタジアムで行うホームゲームで利用している。各ゲートの入場管理、スタジアム場外の飲食売店やグッズ販売のキャッシュレス決済などでローカル5Gを使用。来場者数が増加しても入場や決済に影響がなくなったことで、来場客を待たせず、売上機会を逃すこともなくなったという。来場客の属性分析や、AR/XRアプリの提供などでの活用も検討している。

長距離活かして景観保護

ローカル5Gの伝送距離の長さを活かした導入例もある。横浜市の赤レンガ倉庫がその1つだ。

文化財や史跡等は基地局やアンテナが設置できないことから、屋外を無線エリア化することは難しかった。そこで、道路を挟んだ近隣の建物にローカル5G基地局と指向性アンテナを設置。電波を数百m飛ばして、赤レンガ倉庫敷地の全域を無線エリア化し、イベントや催事におけるキャッシュレス決済等に利用している。

赤レンガ倉庫は湾岸エリアにあり、もともと公衆5Gの電波環境はよくなかったというが、ローカル5G導入後は安定したキャッシュレス決済が可能になった。木村氏によれば、売上が数割増加したと報告を受けているという。

基地局から600mも離れた地点を無線エリア化した例もある。千葉県で行われた音楽フェスでのケースだ。 ここも電波環境がよくない湾岸エリアで、売店等の出店エリアやフェス運営本部、アーティストの待機・準備エリアなどが下の図表のように点在。電源の確保すら難しい場所もあった。

図表 音楽フェスにおけるローカル5Gエリア化のイメージ

図表 音楽フェスにおけるローカル5Gエリア化のイメージ

そこで、電源と光ファイバーがある場所にローカル5G基地局を2つ設置。そこから、最長で600m先の区画を無線エリア化した。他イベントでStarlinkも試したが通信が安定せず諦めていたところ、ローカル5Gによってビーチでのキャッシュレス決済が実現した。

キャッシュレス決済は、利便性の向上や決済の迅速化、機会損失の解消だけでなく、イベント/施設運営者により多くのメリットをもたらす。「正確な売上を把握できる。また、クラウドに蓄積される決済データを利用することで、従来は何時間もかかっていた在庫管理が10分で終わる。ものすごいDXになっている」(木村氏)。

SWCでは、導入効果が着実に見込めるこうした使い方をより広げるため、MOREVEのサービスラインナップとしてキャッシュレス決済端末やカメラ等の端末をレンタルで提供。最近では、商品棚卸システムやRFIDラベルプリンタ/リーダライタを揃えた「商品棚卸サービス」の提供まで始めている。

イベントでの実績から、製造業など他産業からの問い合わせも増えてきていると木村氏。「人が集まる場所や通信過疎地に新たな選択肢を提供できるローカル5Gのメリットを活かして、産業分野にもビジネスを広げていきたい」と話している。

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