ケーブル張替えなしに高速化
POLの優位性は、導入時に限らない。光ファイバーケーブルの耐用年数の長さも大きな魅力だ。
石英ガラス製の光ファイバーはメタルケーブルに比べて温度耐性が高く、配備後30年ほど使用可能だ。塩害に強く、沿岸施設にも適している。ファーウェイのPOLを導入した伊東温泉(静岡県)の「サンハトヤ」は、これが決め手の1つだった。館内の配線スペースが既存設備で埋まっていたところ、ファーウェイが提供している透明光ファイバーを使った露出配線によって短期かつ低コストに光ケーブルに更新できることも導入を後押ししたという。
増速についても、POLは有利だ。
1Gから10G、将来的に100Gへと大容量化しようとすれば、従来型LANの場合、すべてのスイッチを交換したうえで、LANケーブルの張り直しも必要になる。
対して、POLの場合はOLTとONTの交換だけで済む。中継機器の更新も、光ファイバーの張り替えも不要だ。配線工事が一切不要となれば、更新コストは比較にならないほど安くなる。
構内LANの高性能化・高度化は、デジタル化や自動化の進展を大きく左右する。この効果を狙ってノキアのPOLを採用したのが、アジア最大のチャンギ空港(シンガポール)だ。Wi-FiアクセスポイントやIoTセンサー、CCTVカメラやドアアクセスなどに用いる空港内ネットワークをPOLで刷新(図表2は導入イメージ)。拡張予定の新ターミナルも含めると、エンドポイント数は最大で1万5000に達するという。
図表2 チャンギ空港におけるPOL導入イメージ

25/50G PONが実用化へ
POLの利点がわかったところで、気になるのは、ベースとなるPONの高速化ロードマップだ。結論から言えば、50G PONの実用化が始まっており、2030年には100Gへ到達する道筋が見えてきている。
FTTHは10Gの普及が始まったところだ。上り/下りともに最大10GbpsのXGS-PON(対称型)と、上りは最大2.5GbpsのXG-PON(非対称型)の2種類がある。
その次世代規格としてITU-Tで標準化されたのが、25G PONと50GPONである。どちらも実用段階にあり、例えば、グーグルが米国の一部の州で実験的に展開する光アクセスサービス「Google Fiber」は25G PONと50G PONを採用している。
国内でも動きが出てきている。
ノキアは冒頭で述べたNTTドコモビジネスとの協業に加えて、昨年6月に日本国内におけるPON製品の販売で古河電気工業と提携。2025年度中に25G PON製品の国内展開を始める。海外では、Google Fiber以外にも25G PONの事例が出てきている。 住友電工も2026年から、25G PON対応製品を販売開始する。2028年には50G PONへの移行を可能にするOLTの提供を始める計画を発表している。
こうした動きを受けて、ファーウェイ・ジャパン 法人ビジネス事業本部 ビジネス開発マネージャーの青山ダニエル氏は、「日本でも50G PON導入に向かう流れができつつある。さらに、NTTもクラウドから宅内までエンドツーエンドを光化するIOWN構想を進めており、その方向性も、LANのオール光化を後押しする」と話す。ビルやホテル、商業施設等のネットワークをPOLで光化しておけば、将来的に50G PONへの移行が容易になるだけでなく、IOWN APNを引き込んでエンドツーエンドの光化を即座に実現するといったことも夢ではなくなる。
現時点ではXGS-PONを採用しているPOLにも、将来的に25G/50GPONの技術が適用されていくことは確実だ。また、PON市場が次世代規格へ移行することで、「10G PONのモジュール等が安価になってきている」と青山氏。POLのコスト優位性がさらに高まる傾向にある。 LAN構築・更新の際には、POLは必ず検討すべきトレンドと言えそうだ。









