ヒューレット・パッカード――OPEX削減に着実な効果
OSS/BSS分野で強みを持つヒューレット・パッカード(HP)は、複数のキャリアと、SDNの適用によってOPEXを低減するための取り組みを進めている。ルーターをはじめとする多数の管理ノードを仮想化して集約することで、運用管理の負荷を低減しようというものだ。
いわば、データセンターにおけるSDNの活用と同様の取り組みで、シンプルなソリューションと言えるが、「通信キャリアへの手ごたえは十分」と、日本HPの通信・メディアソリューションズ統括本部CMSプラクティス本部ソリューション第二部・部長の迫田健氏は自信をみせる。
特に、通常時は稼働していない待機系システムのコストを適正化するのにSDN/NFVを使いたいという具体的なニーズが出てきているという。
ルーター等のネットワーク設備や、顧客・サービス管理システム等を運用するサーバー/ストレージなど、キャリアインフラには膨大な待機系システムが存在する。これまでは、機能やシステムごとに待機系設備を保持していた。それらを仮想化してデータセンターやクラウドに集約し、必要に応じてリソースを配分すれば、機器の数も保守費も、運用に必要な人的コストも大幅に削減できる。
もう1つ、通信キャリアが期待するのが、レガシーサービスの延命だ。キャリアは、ISDNやADSLといった、いわゆるメタル系のサービスを提供するための専用機器等をはじめ、すでに生産・サポートが終了し自営保守を余儀なくされている設備も多く抱えている。「こうしたレガシーサービスを維持するための機器を仮想化し、サーバー内に集約できれば、更改や保守の費用を大きく削減できる」(迫田氏)。EoL(End of Life)問題の解消にSDN/NFVを活用しようというわけだ。
HPは今後、OSSを軸に、NFVとSDNの取り組みを進めていく考えだ。キャリア向けの仮想ネットワークアプリケーションを開発し、OSSや、サーバー/ストレージ、ネットワーク機器を制御するリソース管理システム等との連携を進める(図表5)。
図表5 PAN HP strategy for NFV – SDN |
鍵となるのは、ネットワーク機器ベンダーや仮想化ベンダーとのパートナー戦略だ。HPが提供するSDNコントローラとヴイエムウェア、マイクロソフト等のSDN対応ネットワーク機器、ハイパーバイザとの連携を進め、マルチベンダーをサポートするオープンなSDNを推進していく。