iSIMの本格展開へ
――他のMVNO事業者とはどのように差別化を図っていきますか。
高橋 4つのポイントがあります。
まずは、Web上でSIMや回線を管理できる「ユーザーコンソール」を刷新します。ソラコムが内製するプラットフォームをミソラコネクトのサービスでも使えるようにし、お客様の利便性向上に向けて取り組んでいきます。
2つめは、最新のSIMテクノロジーへの対応です。ミソラコネクトは、国内でも数少ないNTTドコモのフルMVNOである丸紅ネットワークの事業を継承しており、自社でSIMカードの発行・管理を自由に行える点が大きな特徴です。ユースケースに応じて、eSIM(Embedded SIM)やiSIM(Integrated SIM)などを提供していきます。
eSIMは、IoTデバイス等の基板に直接組み込めるため、車両など振動や衝撃の多い環境でも接触不良が起こりにくく、広い動作温度範囲を持つものが一般的です。SIM機能をSoC(System on Chip)に統合するiSIMは、さらなる省スペース化・省電力化を実現します。
3つめは、1つのSIMで複数の国内キャリアのプロファイルが利用できる「マルチキャリアプロファイル」の提供です。丸紅ネットワーク同様、ソラコムはKDDIのフルMVNOであるとともに、グローバルなフルMVNOとして海外の通信キャリアとも提携しています。この強みを活かし、1枚のSIMで国内外の通信キャリアを柔軟に使い分けられるサービスの拡充を進めていきたいと考えています。
4つめとして、近年モバイルワーカーのセキュリティ意識が高まっていることから、ネットワークとセキュリティを一体で提供するSASE(Secure Access Service Edge)の提供も検討しています。
図表 ミソラコネクトの強み・特徴

――衛星通信やローカル5Gなどの次世代通信については、ビジネスへどう活用できるとお考えですか。
高橋 IoT向けNTN(非地上系ネットワーク)には注目しています。ソラコムでは、1枚のSIMカードやeSIMで地上セルラー通信と衛星通信をシームレスに利用できる「planNT1」をグローバルに提供しており、モバイル網の電波が入りにくいエリアでIoTデバイスを稼働させるためにplanNT1を使うといった事例も出てきています。日本でも法整備が進めば、国内のお客様にも同様のサービスを提供していきたいと考えています。
ローカル5Gについては、案件ごとに個別構築が必要となるため、現時点では人的リソースなどの制約があります。とはいえ、今年9月にアップルが発表したスマートウォッチが、IoT向け5G規格「RedCap」に対応したように、テクノロジーは着実に進化しています。今後もこうした動向を注視し、お客様が新しい技術を活用できるよう、積極的にキャッチアップしていくつもりです。
――今後の目標についてお聞かせください。
森田 設立からまだ3カ月弱と日が浅く、新サービスをローンチできているわけではありませんが、先に触れたユーザーコンソールの開発プロジェクトはすでに進行しており、年度内にリリースできる見込みです。社員も新体制のもとで前向きに取り組んでいますので、両社の強みを融合させながら、お客様により良いサービスをお届けしていきます。














