アバンシ、コネクテッドカー向け特許ライセンス事業10年目 世界2億4000万台に供与

アバンシは11月18日、記者説明会を開催し、設立10年目を迎える同社の事業概要を説明した。コネクテッドカー向け特許ライセンスプラットフォームを通じて、世界中で2億4000万台以上の車両にライセンスを供与しており、日本市場もキーマーケットになるという。

アバンシ ビークル事業兼プレジデント ローリー・フィッツジェラルド氏(左)、創業者兼CEO カシム・アルファラヒ氏(中央)、東京オフィス代表 山本一成氏(右)

アバンシは2025年11月18日、設立10年目を迎える同社の事業概要と最新動向に関する記者説明会を開催した。

アバンシの中核事業は、コネクテッドカー向けのライセンスプログラムで、同社は特許権者と自動車メーカーの間に立ち、コネクテッドカーに必要な移動通信技術の特許を一括でライセンス(使用許諾)する仕組みを提供している。自動車メーカーは個別に特許権者と交渉する手間とコストを削減でき、特許権者は効率的に自動車業界全体にライセンスを供与できるという。

2016年に開始したAvanci 4G Vehicleプログラムでは、2G、3G、4G移動通信のライセンスを提供し、現在130社以上の自動車ブランドが参加。世界中で2億4000万台以上のコネクテッドカーにライセンスを供与し、参加するライセンサー(特許所有者)の数は60社以上に上るという。

2023年8月には5G対応のAvanci 5G Vehicleプログラムを開始し、自動車ブランド60社以上、ライセンサー80社以上が参加している。同社 ビークル事業 プレジデントのローリー・フィッツジェラルド氏は「参加企業が、移動通信の必須特許のほぼ90%を保有している」と説明した。

Avanci 4G Vehicleプログラムの概要

車両以外の分野にも事業を拡大している。例えば、Avanci Smart Meter(2023年10月開始)は、スマートメーター向けに3G、4G移動通信のライセンスを提供している。

日本市場について、同社 東京オフィス代表の山本一成氏は「設立当初はプラットフォームモデルの理解に時間がかかったが、現在は多くの自動車メーカーやライセンサーが参加しており、キーマーケットとなっている」と述べた。自動車メーカーだけでなく、建設機械や農業機械など幅広い車両が対象となるという。

創設者兼CEOのカシム・アルファラビ氏はアバンシの特徴について、独立性と中立性にあると説明し、「我々はどの業界にも属さず、公平な条件で全企業に同じライセンス料を提示する。ライセンス料はウェブサイト上で公開されており、透明性を重視している」と強調した。

ライセンシーは単一の契約で必要な技術をカバーでき、ライセンサーもグローバルな自動車業界全体に効率的にライセンスを供与できるという。フィッツジェラルド氏は「5Gのコネクティビティの価値は今後増えていく。自動運転や高度な運転支援など、AIによる機械学習で車が学習・改善を続け、より自動化が進むことで、移動通信の需要も増加する」と展望を語った。

アバンシプラットフォームのアプローチ

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