“7000件の商談実績がベース”―― 富士通が企業のモバイル活用支援する新サービス群

富士通が企業向けモバイルソリューション提供を強化する。関連製品・サービス群を「FUJITSU Mobile Initiative」として体系化。7000件を超える商談実績を強みに、複数の新サービスも用意する。

富士通は2013年8月27日、企業向けモバイルソリューションに関する記者説明会を開催した。同社のモバイル関連製品やサービス群を体系化することで、顧客企業への導入やシステム構築を容易にするとともに、新サービスの投入、既存サービスの強化により、企業向けモバイル関連事業のさらなる成長を目指すという。富士通・執行役員常務 ユビキタスプロダクトビジネスグループ長を務める大谷信雄氏によれば、ここ数年モバイル関連の商談が急増しているという。「約7000件もの商談実績があり、そのノウハウをベースに多くの製品・サービス群を体系化した。富士通には“モノ”(製品)も、“コト”(サービスや技術、ノウハウ等)もある。この両面でスマートデバイスを活用したい企業をサポートすることで強みを発揮していきたい」と話した。

(左から)執行役員常務ユビキタスプロダクトビジネスグループ長の大谷信雄氏、統合商品戦略本部長の阪井洋之氏、サービスビジネス本部長の小田成氏

「FUJITSU Mobile Initiative(フジツウ モバイル イニシアチブ)」として体系化した製品・サービス群と、今回提供を始める新サービス、ならびに機能強化を行う既存サービスを示したのが下の図だ。端末やネットワークインフラから、アプリケーション、コンサルティング/SIまで含めた垂直統合型で、顧客企業のモバイル活用をサポートする。そして、スマートデバイスが企業に本格的に浸透し始めるとともに顕著になってきた新たなニーズに応えるための新サービス提供、既存サービスの強化を行った。

「FUJITSU Mobile Initiative」として体系化したモバイル関連製品・サービス群

新サービスは3つ。「ワークスタイルUXデザインコンサルティングサービス」(2013年8月27日提供開始)は、コンセプト立案や利用シーンのイメージ策定、導入効果の算出、トライアル評価など、モバイルを利用した新しいワークスタイルのデザインを行うもの。これに基づき、実際の導入・構築を支援するのが、「モバイルインフラ構築サービス」(2013年第3四半期提供)だ。これまで同社が手掛けてきた商談のノウハウを基に、短期間でのシステム構築を支援するという。スマートデバイスを業務に活用しようとする場合には、ネットワークの構築や運用管理、端末資産管理、ID管理・認証、アプリケーションの開発など、広範囲なノウハウが求められる。統合商品戦略本部長の阪井洋之氏は、「7000件の商談実績をベースにした『標準構成モデル』を用いてシステム全体のデザインやインフラ構築を行うことで、工期を半減することができる」と話した。

3つ目は、モバイル向けアプリケーションの開発・実行基盤である「MobileSUITE」(2013年10月提供)。業種・業務向けモバイルアプリを多様な端末に配信して利用するためのPaaS機能、プラットフォーム機能、統合管理機能を提供する。具体的には、HTML5によりOS非依存のアプリを開発できるAPI/SDKを提供。開発したアプリはMobileSUITEの専用環境から社員の端末に配信できる。配信時の暗号化や、MDM(モバイルデバイス管理)やMAM(モバイルアプリケーション管理)機能等も合わせて提供する。利用料は1ID当たり月額1000円程度となる見込みだ。

モバイル向けアプリケーションの開発・実行基盤「MobileSUITE」

既存サービスの強化については、モバイル端末から企業内システムに接続するための「FENICSⅡ ユニバーサルコネクト」において、新サービス「アプリケーションブリッジサービス」を10月から提供する。これは、既存のPC向け業務Webシステムをタブレット端末から利用可能にするもので、画面転送方式によって既存システムを改修せずにモバイルで利用できるようになる。特徴は、富士通独自の高速画面転送技術「RVEC(レベック)」を採用していること。画面転送時の操作応答性を向上させる技術で、狭帯域・遅延の大きな環境でもサクサク使えるようになるという。サービスビジネス本部長を務める小田成氏は、「オフラインでも使えるモバイル専用アプリを開発して使いたいというニーズには『MobileSUITE』を、既存業務アプリをすぐにモバイル対応させたいという要望には『ユニバーサルコネクト』というかたちの使い分けで提案していきたい」と話した。

そのほか、顧客企業の要望に合わせて専用仕様の端末を設計・製造する「カスタムメイドプラスサービス」、スマートデバイス導入時のキッティングや運用開始後の運用管理代行等を行う「スマートデバイス-LCMサービス」なども強化する。2012年度のモバイルソリューション関連事業の売上は1800億円で、こうした取り組みにより、13年度には2300億円、2015年度には4000億円を目標に年平均130%の成長を目指すという。

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