NTTドコモは2024年2月に、オープンRAN(O-RAN)を日本全国で商用展開するパートナーとしてAWSを選定した。具体的には、コンテナ管理ソフトの「Amazon EKS Anywhere」を使ってドコモの5G O-RANを展開。自動クラスター管理ツールを活用することで、仮想RAN(vRAN)の運用を簡素化/最適化することが目的だ。
AWSはもともと、ハイブリッドクラウド環境で運用するドコモの5Gコアの開発も支援してきた。上記の発表後は、両社でO-RAN/vRAN基盤の共同開発も進めてきており、AWS Summit Japan 2025でそのアーキテクチャについて詳しく紹介。ドコモブースの説明員によれば、「間もなく商用展開を始める。まずはスモールスタートになるが、既存のRANを徐々に置き換えていく」という。
肝は「クラスター構築のゼロタッチオートメーション」
AWSとドコモが共同開発したO-RAN/vRAN基盤とは、どのようなものか。
構成要素は大きく3つ。vRANアプリ(vDUとvCU)と、それを管理する「Docomo SMO(Service Management & Orchestration)」、そしてコンテナ基盤だ。
ドコモとAWSが共同開発したO-RAN/vRANアーキテクチャ
AWSとドコモが今回開発したコンテナ基盤「AWS O-Cloud Platform」の最大のポイントは、vDUやvCUを展開、運用するためのクラスター(複数のリソースをまとめて管理するための論理的なグループ)の構築と管理を自動化したことにあるという。AWSが提供しているゼロタッチオートメーション機能(ZeTA)を活用することで、コンテナ基盤を高速に構築・展開することが可能になった。
クラスター構築に当たっては、従来は数百以上の項目を手動で設定する必要があったが、両社で共同開発したテンプレートを活用することで、クラスターの初期構築にかかる時間は2時間程度に短縮。ESTI NFVとO-RANの両方の標準規格に準拠した基盤が迅速かつ簡易に構築できるという。
また、コンテナ基盤とvRANアプリは汎用サーバーで運用されるが、そのコンテナ/ハードウェアともにライフサイクル管理も自動化している。