ネットワークのクラウドモデル「NaaS」で先行
次世代テレコムを目指すうえで、技術的な核の1つとなるのが「NaaS(Network as a Service)」だ。
NaaSとは、ネットワークのクラウド型利用モデルのこと。コペン氏はガートナーによる定義を引用し、自動化、顧客企業によるセルフサービス、ダイナミックな帯域増減、サブスクリプション型または従量制課金、そしてNaaSプロバイダがすべて所有・運用するという5つの要素を備えたものがNaaSだと説明した。「Colt On Demand」の名称で提供するColtのNaaSは、そのすべてをサーポートしているという。
ガートナーが定義するNaaSの5要素
オンサイトでの作業が不可欠な初期導入時を除き、すでに回線が接続済みの拠点であれば、見積もりから発注・導入、アップグレード/ダウングレード、課金までほぼすべての作業がポータル上でリアルタイムに実行できる。さらに、Coltネットワーク上でのCO2排出量も表示することが可能だ。
Coltの顧客ではNaaSの利用が広がっており、例えば、「拠点の増減に柔軟に対応したり、BCPの観点で、有事の際に使うオプションとしてNaaSを活用する」(水谷氏)といった利用形態が出てきているという。また、通信事業者でも、欧州のネットワークをColtから調達して、セルフサービスとして顧客企業に提供している例がある。「オーストラリアのゲーム会社は、非常に大容量のデータをロンドン拠点に送るときだけ広帯域なネットワークを使う」(コペン氏))のにNaaSを活用している。
こうしたNaaS活用をさらに広げるため、世界各国の通信事業者とのNaaS連携も進める。
世界で380超のパートナーと連携
イーサネットおよびIP接続に関しては、すでに380社以上のパートナーと提携しており、今後、サービスレイヤでの連携を強化。複数事業者のネットワークをまたがる場合でも発注や導入、帯域の増減、課金などをリアルタイムかつシームレスに行えるような世界を目指す。
低軌道衛星通信をSD-WANのアンダーレイに
もう1つ、コペン氏が注力領域に挙げたのが、低軌道(LEO)衛星通信サービスだ。SpaceXのStarlinkを使ったインターネット接続サービスをすでに提供しており、インストールから運用サポート、メンテナンスまで含めたマネージドサービスとして利用可能という。現状ではインターネットアクセスのみだが、近々、SD-WANのアンダーレイとしても使えるようになる予定だ。
LEO衛星を使ったアクセスサービスのイメージ
また、現時点では「Starlinkがベストカバレッジ」(コペン氏)として採用しているが、他のLEO衛星事業者との提携も進める考え。光ファイバーや携帯電話網のコネクティビティがない場所で、それを補完するサービスとして積極的に活用していく方針だ。
そのほか、2025年は日本の通信事業者との相互接続や、ハイパースケーラーとの接続も拡大するとコペン氏。APACと欧州・北米との間の接続を支援するための様々なプロジェクトを計画しているという。