NTTが中期戦略を発表――法人売上高海外比率50%以上を目指す

NTT(持ち株)は2012年11月8日、「新たなステージを目指して」と題したグループの中期戦略を発表した。

NTTグループの中期戦略を発表する持ち株の鵜浦博夫社長

鵜浦博夫社長はまず、「通信市場は5~10年後に大きな変化が訪れそうであり、今後の数年間は過渡的な状況になる」と予測。今回の中期戦略は、今後3~4年をターゲットにした「つなぎ的になる」との位置づけを示した。

過渡期となる数年間については、「クラウドやビッグデータなどを中心としたビジネス上の変革が起き、それは我々のビジネスにもさまざまな変革をもたらす」との見解だ。具体的には、現在の「Internet」から、新たなステージとして、「Inter-Service」という、ネット上のサービス、ネットとリアルのサービス相互が融合したより付加価値の高いサービスへと変革が加速すると見ており、「我々もこうした変革を加速していきたい。競争の土俵を変えていきたい」と語った。

NTTが目指す「新たなステージ」

その変革していく姿として掲げたのが、「バリューパートナー」だ。鵜浦社長は「クラウド時代が進めば進むほど、お客さまの選択機会が増え、極めて容易に色々なサービスに切り換えることができる。そうしたなかで我々は、“お客さまに選ばれ続けるバリューパートナー”となり、多彩なサービスをつなぎ、お客さまとサービスをつなぐ役割を果たしていく必要がある」という。そのうえで、「お客さまのニーズに合わせて(Suitable)」「より簡単・便利に(Simple)」「より安心・安全に(Secure)」という3つの基本的なミッションを示し、「この3つがお客さまにきちんと評価された時が、真のバリューパートナー、選ばれ続けるNTTグループになった時だと考えている」と語った。

クラウドは北米発でグローバルに展開

中期戦略の中心となる取り組みとしては、(1)「グローバル・クラウドサービス」を事業の基軸に、(2)ネットワークサービスの競争力を徹底的に強化の2つを挙げた。

(1)については、北米でクラウドサービスの開発を進め、新興国への取り組みを加速させる。北米発の意味について鵜浦社長は「現在、世界で最も先進的な市場は北米であり、ここからグローバルに入っていくのが、我々のクラウドビジネスをスピードアップさせることになる」と語った。国内ではNTTへの規制も多いことも北米発を選択した理由の1つという。

「グローバル・クラウドサービス」への取り組み

(1)の取り組みのポイントとして、「セキュリティ基盤の強化」「海外R&Dの強化」「Wi-Fiプラットフォームの強化」の3つについて言及。セキュリティ基盤の強化については、「我々は世界最大級のセキュリティインテグレーターになったと自負しているが、もう少しレベルを上げていく必要がある。セキュリティのトップランナーとして不動の地位を確立したい」と語り、現在取り組んでいるグローバル・セキュリティプラットフォームの構築や各国の法制度等に対応したローカルプラットフォームの展開などについて説明した。海外R&Dの強化では、開発のスピードを上げるために10月に「グローバルR&D委員会」を新設したことを明かした。Wi-Fiプラットフォームの強化は、国での展開についてであり、現在、駅や空港などで提供しているWi-Fiプラットフォームを「既存の固定でも携帯でもない“第3のアクセス”と位置付けて強化していく」方針を示した。

(2)のネットワークサービスの競争力を徹底的に強化については、「設備効率の更なる向上」と「今後の環境変化に応じたシンプルで高効率な業務運営の確立」を掲げ、「競争は受けて立つ所存であり、CAPEX(資本的支出額)とOPEX(事業運営費)について、徹底的な体力強化を図る」という。

これらの取り組みを踏まえて、中期財務目標を発表。(1)については、2017年3月期までに海外売上高を200億ドルまで拡大するとともに、法人売上高海外比率50%以上を目指す。(2)では、2015年3月期までに固定/移動アクセス系のコストを、連結ベースで2012年3月期比で4000億円以上削減し、「利益確保と競争力強化の原資に使う」とした。

中期財務目標の内容

NTTグループでは現在、EPS(一株当たり利益)の成長を中期的なターゲットにしており、2016年3月期までに、2012年3月期比で60%以上成長させる方針だ。

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