NTTドコモ 加藤社長「経営の基本は6000万の顧客基盤」

FMCサービスやキャッシュバック競争、iPhone人気の影響を受け、かつてない苦戦が続くNTTドコモ。夏商戦では、スマートフォンのラインナップを強化するとともに、新しい料金プランや独自サービスの投入で巻き返そうとしている。加藤社長は「総合力で戦っていきたい」と話す。


――ここ数カ月間、純増数やMNPで苦戦が続いています。どうやってこの状況を打開していきますか。

加藤 6月は純増数が1万1300件と低迷しましたが、これは昨年12月に発売した「PS Vita」向けに提供したプリペイドの解約が約10万件発生したことが影響しています。MNPによる流出数は減少傾向にあるとはいえ、販売面でやや不振であることは楽観視できない状況です。

夏商戦では端末のラインナップを強化しており、6月28日に発売した「GALAXY S III」は7月18日時点で30万台近く売れています。XperiaやARROWSなど人気モデルの新機種も発売されますし、「らくらくスマートフォン」が新たに登場します。

料金も中程度ユーザー向けに月額4935円と従来より1050円安い「パケ・ホーダイライト」や、らくらくスマートフォン専用プランなど、選んでいただきやすいプランを揃えました。

サービスでは、撮影した写真を自動で整理してクラウドに保存する「フォトコレクション」をはじめ、マルチデバイスに対応するクラウドサービスの充実を図っていきます。このように端末、料金、サービスと総合力で戦っていきたいと考えています。

NTTドコモ 加藤社長

――KDDIはauスマートフォンと固定回線のセット割引「auスマートバリュー」が好調で、加入者の獲得にも貢献しています。NTTグループが同様のサービスを提供できないのはユーザーにとっては不公平ではないかとの見方もあります。

加藤 確かに、NTTグループのお客様が不利益をこうむるのは競争政策上どうなのかという気がします。市場環境の変化も踏まえた上で、見直しの議論がなされてもいいのではないでしょうか。

現状でも、ドコモがNTT東西の固定回線とのセット割引を提供することは論理的には可能で、決してできないわけではありません。しかしその場合、法規制によって東西だけでなくすべての事業者に同じ条件で提供しなければならないので、結果として単純な値下げになってしまい戦略として取りづらい面があります。

auスマートバリューの対抗策として、まずはLTEサービス「Xi」を複数回線利用しやすい環境を作る方針で、2台目のXi端末の月額料金が安くなる「プラスXi割キャンペーン」を展開しています。

月刊テレコミュニケーション2012年9月号から再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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加藤薫(かとう・かおる)氏

1977年3月名古屋工業大学大学院工学研究科電子工学専攻修了。同年4月日本電信電話公社入社。85年11月日本電信電話株式会社移動体通信事業部担当課長。94年8月エヌ・ティ・ティ関西移動通信網総務部担当部長・設備部担当部長兼務。96年12月エヌ・ティ・ティ移動通信網経営企画部担当部長。2000年4月エヌ・ティ・ティドコモ関西設備部長・総務部担当部長兼務。05年7月三井住友カード代表取締役兼専務執行役員、08年6月エヌ・ティ・ティ・ドコモ取締役常務執行役員経営企画部長。2012年6月同代表取締役社長(現職)

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