<特集>宇宙通信のこれから総務省の宇宙通信政策「日本の勝ち筋を丁寧に」 扇課長インタビュー

低軌道衛星コンステレーションを用いた衛星通信サービスを筆頭に、ICT市場における宇宙システムの重要性が急激に高まっている。また、宇宙での人類の可能性を広げていくうえでも、通信が果たす役割は非常に大きい。こうしたなか、政府は宇宙通信市場の現状をどう捉え、どんな政策を進めているのか、総務省 宇宙通信政策課長の扇慎太郎氏に聞いた。

総務省 国際戦略局 宇宙通信政策課長 扇慎太郎氏

総務省 国際戦略局 宇宙通信政策課長 扇慎太郎氏

目次

    • ・宇宙通信の重要性が高まっている背景
    • ・宇宙基本計画と宇宙戦略基金
    • ・総務省が設定した4つの技術開発テーマ
    • ・マルチオービット化で市場構造も変化

宇宙通信の重要性が高まっている背景

――宇宙通信の重要性が高まっています。

 背景には、人類の宇宙での活動範囲が広がっていることがあります。これまでの地球近傍から、月、さらにその先の深宇宙での活動も増えてきました。また、安全保障の面でも、宇宙システムの重要性は高まっています。

その中で、我々の生活においても、衛星通信はより身近なものとなってきました。例えば今年1月の能登半島地震では地上網が断絶し、Starlinkが災害対応や被災者の方の通信手段の確保に役立ちました。非地上系ネットワーク(NTN:Non-Terrestrial Network)と地上系ネットワークの融合が大きな動きとなっており、その結果として、宇宙を経由して通信する場面が増えています。

通信は電力と並んで、宇宙活動の基盤となるものです。通信できないことには、何も始まりません。宇宙活動が発展していくうえで、通信が果たす役割は非常に大きいと思っています。

世界の宇宙市場の規模は現時点で50兆円から70兆円くらいと言われています。このうち衛星通信の市場は1兆円くらいですが、2030年頃には約3兆円に拡大するという予測もあります。総務省としても、これまで以上に力を注いでいかなければならない分野だと考えています。

図表1 宇宙政策をめぐる環境認識

図表1 宇宙政策をめぐる環境認識

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扇慎太郎(おおぎ・しんたろう)氏

2000年東京大学経済学部卒、同年郵政省(現総務省)入省。2020年8月、内閣官房内閣サイバーセキュリティセンター企画官。2022年6月、総務省情報流通行政局参事官付企画官。2023年7月、総務省国際戦略局宇宙通信政策課長(現職)

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