「スマートフォン販売で800万台を目指す」――KDDIの2012年3月期は増収増益

「auモメンタムは完全回復した」――KDDIの田中孝司社長は、2012年4月25日に開催した2012年3月期の決算説明会でこう語った。同社は期初に設定した(1)au解約率、(2)MNP、(3)純増シェア、(4)データARPUの4つのKPIが劇的に改善したという。

2012年3月期決算について説明する田中孝司社長

(1)については通期ベースの解約率は0.66%と過去最低水準に。3Qには0.56%という業界最低水準となった。(2)は6カ月連続で純増No.1を達成。(3)については、4Qに33.4%に上昇した。(4)のデータARPUも4Qは前年同期比10.3%増という大幅な伸びを達成した。

2012年3月期のポイント。3M戦略も順調に立ち上がっている

スマートフォンの販売台数も好調で、前期比454万台増の563万台となり、期初計画の400万台を大幅に上回る結果となった。携帯電話全体に占めるスマートフォンの割合も41%となった。田中社長によれば、スマートフォン販売におけるiPhoneの比率は「週によって変動があるが、低い時でも10数%、高い時は40%近くになっている」といい、「iPhoneの貢献が非常に大きい」と語った。

スマートフォン販売台数の四半期推移

この好調を受けて2013年3月期のスマートフォン販売台数を、前期比42%増の800万台とする計画を発表。携帯電話全体では1180万台を見込んでおり、7割近くがスマートフォンとなる。

純増数/スマートフォン販売台数の見通し。au純増数は前期並みの210万で高水準を維持。FTTHは前期比70%増の63万を見込む

2012年3月期の連結決算は、営業収益が前期比4.0%増の3兆5721億円、営業利益は同1.2%増の4776億円と増収増益を達成。11期連続の営業増益となった。セグメント別では、移動通信事業は営業収益が同5.3%増の2兆7270億円、営業利益が同4.5%減の4192億円だったが、固定通信事業は営業収益が同2.0%増の9155億円、営業利益が同122.7%増の534億円と増収増益となった。

LTEを前倒しで開始する

2013年3月期は、営業収益が前期比0.2%増の3兆5800億円、営業利益は同4.7%増の5000億円を計画する。そのために田中社長は「3M戦略を本格化させる」と語った。具体的には「3M戦略によるゲームチェンジと競争優位性を確保するほか、マルチネットワークによる高速で快適な通信環境の提供とコスト低減を両立させる」という。

3M戦略のロードマップ

KDDIでは2013年3月期からセグメントを、従来の「移動通信」「固定通信」「その他」から、「パーソナル」「バリュー」「ビジネス」「グローバル」「その他」に変更した。そのそれぞれのセグメントで、3M戦略の推進による競争力向上を図る。なかでも売上全体の71%を占めるパーソナルでは、auスマートバリューを適用したau契約数を前期比244万増の310万、世帯数を同111万増の155万という目標を立てた。そのために、auスマートバリューをフックにし、auとFTTH/CATV双方の顧客基盤にクロスセルを推進していく。

新セグメントと売上構成比

また、田中社長はLTEの導入時期にも言及。「当初予定の今年12月から前倒しでサービスを開始できる」と見通しを語った。前倒しの理由として、「基地局の建設が順調に進んでおり、対応端末の準備も前倒しでできている」という。前倒しの具体的な時期については「別途発表する」とした。

LTEは800MHz帯と1.5GHz帯に加え、2GHz帯での展開も実施する。2013年3月に実人口カバー率96%を目標としており、今年度は基地局ベースで800億円規模の設備投資を行う。

LTEの導入計画

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