「通信事業者は、ネットワークの様々な要求と変化に対応するためのインフラ変革に迫られている。通信事業者間の競争激化によりARPUが低下し、新たな収益源を確保することも課題だ」
情報通信関連トレンドと同社の事業戦略に関するラウンドテーブルにて、シスコシステムズ 専務執行役員 情報通信事業統括 兼 第一事業本部長の木田等理氏はこう述べた。
シスコシステムズ 専務執行役員 情報通信事業統括 兼 第一事業本部長 木田等理氏
トラフィックの急増に伴い消費電力も増大するなか、サステナビリティ活動を推進することも求められる。ほかにも、ネットワーク運用の自動化、セキュリティ対策など、通信事業者が抱える課題は山積している。
シスコシステムズは、こういった通信事業者の課題解決に資する“6本柱”の事業戦略を掲げる。
1つ目は、「ソフトウェアとサービスによる価値の最大化」だ。同社はここ数年、ハードウェアからソフトウェア中心の製品ラインナップへ、また売り切り型からサブスクリプション型へとビジネスモデルをシフトさせている。直近のソフトウェア売上に占めるサブスクリプション収益の割合は、約9割に及ぶ。
また、オンプレミス型で提供してきたソフトウェアをSaaS化することで、「通信事業者をソフトウェア管理業務から解放し、新たなサービスクリエーションに注力できる」と木田氏は語った。
ソフトウェアによる価値最大化
さらに、ネットワークインフラを動的に変更・拡張できる「やわらかいインフラ」への移行支援も行う。コロナ禍をきっかけに、仕事をする場所や使用デバイス、データの保管場所などが変化した。「様々な変化に柔軟に対応していくには、ITインフラの性能を柔軟かつ迅速に変化させていく必要がある」と木田氏は強調した。
やわらかいインフラは、会社支給PCやBYODなど多様な接続ニーズに対応する「Connect」、要件に応じてネットワークインフラを最適化する「Optimize」、インフラの運用を自動化する「Automate」などの「複数機能で構成されるITインフラを抽象化し、ITインフラ全体を“1つの概念”として捉えることで、デバイスやアプリケーション、データの変化に柔軟に対応することができる」(木田氏)という。