「法人携帯市場を民主化」楽天モバイル 鈴木共同CEO OpenAIとスマホ向けAI開発

楽天モバイルが法人事業に参入してから1年余り。「法人携帯市場の民主化」をミッションとして掲げる同社の法人顧客数は、1万社を突破した。2024年内の単月黒字化という至上命題の達成のため、どのようにして法人事業をさらに成長させていくのか。鈴木和洋 共同CEOに戦略を聞いた。

楽天モバイル 代表取締役 共同CEO 鈴木和洋氏

楽天モバイル 代表取締役 共同CEO 鈴木和洋氏

――2023年1月に法人事業に参入してから1年余りですが、振り返ってみていかがですか。

鈴木 非常に多くの企業にご利用いただいており、今年3月に法人顧客は1万社を超えました。この数字に手応えを感じています。

当社の法人事業が企業にご評価いただいているポイントは、大きく2点あります。

1つは料金プランです。特に大企業では、働き方改革やコロナ禍をきっかけにリモートワークがかなり浸透してきています。スマートフォンでZoomのミーティングに参加したり、一部業務を行うようになっており、とにかくデータ通信量が増えています。

大企業の場合、すでに他の携帯電話事業者と契約していて、MNPで楽天モバイルに乗り換えていただくケースが多いのですが、その際に決め手となっているのが「音声+データ無制限プラン」です。

このプランは、月額2980円(税抜、以下同)でデータ通信を制限なく利用することができます。何ギガ使っても、極端に言うと、1テラバイト使っても月額2980円です。他社のように、契約したデータ容量を超えると速度制限がかかることもありません。「2980円でデータを使いたいだけ使えるのはありがたい」という声をたくさんいただいています。

一方、中堅・中小企業は、法人のマーケットとしてはまだ成熟しておらず、最近になってようやく社用端末を従業員に支給するケースが少なくありません。予算の制約からプライスコンシャス(価格に敏感)な企業も多く、データ3GBとSMSで月額980円という安価なプランから始める企業がほとんどです。

――料金を気にすることなくデータ通信を使える点が評価されているのですね。

鈴木 そう思います。

もう1つは、法人向け通話アプリ「Rakuten Link Office」です。

アプリをダウンロードすればすぐに利用を開始することができ、しかも相手が固定電話や他の通信事業者の携帯電話でも国内であれば無料でかけ放題です(0570などから始まる他社接続サービス、188など一部特番への通話は対象外)。

加えて、海外から日本国内への通話料もかかりません。国際ローミングの利用料金は高額で、帰国後に請求書を見てびっくりすることがあります。その点、楽天モバイルは72の国と地域で最大2GBまではデータ通信が無料です。通話はRakuten Link Officeを使えば、1週間くらいの海外出張であれば、通信料をゼロ円にすることができます。

3月8日からは、Androidユーザー向けに「Rakuten Link Office デスクトップ版」も提供開始しました。PCで仕事をしているとき、スマホに着信があると取り損ねてしまうことがありますが、デスクトップ版はPCで電話やSMSが利用できるので、そうしたことがなくなります。特に内勤の方にはとても便利だと思います。

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鈴木和洋(すずき・かずひろ)氏

1983年3月慶應義塾大学経済学部経済学科卒業。同年4月日本アイ・ビー・エム入社。2000年1月日本アイ・ビー・エム営業部長。2004年7月日本マイクロソフト業務執行役員。2006年2月日本マイクロソフト執行役。2011年1月シスコシステムズ専務執行役員。2018年9月シスコシステムズ代表執行役員会長。2022年4月楽天グループ専務執行役員(現任)。同年6月楽天コミュニケーションズ代表取締役会長CEO(現任)。同年6月、楽天エナジー代表取締役社長(現任)。2023年4月楽天モバイル代表取締役 共同CEO(現任)

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