ガラスではなく、空気に光を閉じ込める──。
慶應義塾大学と古河電気工業は2023年11月、慶應義塾大学未来光ネットワークオープン研究センターに「空孔コアファイバー」を敷設。施設内の複数ビル間を結ぶ約500mのネットワークを構築した。実用に近い環境で、この新型光ファイバーの実験ができる施設は世界初だ。
慶應義塾大学未来光ネットワークオープン研究センターに空孔コアファイバーを敷設する際の様子(画像提供:慶應義塾大学)
一般的な光ファイバーは、光の通り道(コア)も、その周辺部(クラッド)も共にガラス製であり、屈折率を変えることでコア中に光を閉じ込める。対して、空孔コアファイバーはコアが空洞(図表1)。つまり、空気中に光信号を通す。慶應大 理工学部情報工学科の山中直明教授によれば、「今までの光ファイバーの限界を打ち破る可能性を秘めた革新的なファイバー」だ。
図表1 従来の光ファイバーと空孔コアファイバーの断面図