ソフトバンクは2024年2月22日、全世界の通信事業者との連携を見据え、5Gの特徴を活かした共通APIによるフィールド実証を行い、今月完了したと発表した。
今回の実証は、ソフトバンクがオープンソースプロジェクトの「CAMARA」によって定義された共通APIを開発し、慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス(神奈川県藤沢市、以下SFC)内にプライベートな5G環境を構築して行われた。
ソフトバンクはSFC内に構築したインフラを活用し、5G SAコア設備の制御や情報取得ができる機能の開発と、それらをAPIで開放するシステムであるネットワークAPI Enablerを構築。また、SFC内に設置されているセンサー情報や実験用の端末情報などを、デジタルツインプラットフォーム上で収集・連携させることで、様々なユースケースの検証を実施できる検証基盤を構築した。
さらに、アプリケーションサービスプロバイダーがイメージしやすいユースケースの1つとして、センサーによる人物検知を契機とした通信品質最適化ソリューションのフィールド実証を実施した。
実証実験の概要
今回、遠隔監視での利用を目的に、カメラの映像品質と通信品質を制御するシステムを開発し、Quality on Demand(QoD)APIによる映像品質と通信品質の制御の動作検証およびユースケースへの適応検証を行った。
カメラによる遠隔監視では、平常時のカメラ映像の転送データの多くが無駄となってしまう一方、異常検知時には、高品質な映像データが必要となるため、通信データの制御が求められる。
QoD APIを用いて、異常検知時のみ低品質から高品質な映像へ切り替えることで、通信データ量の無駄をなくし、運用コスト削減を図ることができるようになる。また、APIを用いて外部から映像品質を制御できるため、高機能なカメラやセンサーは必要なく、汎用的な製品のみで効率の良い監視運用が可能になる。今回は、LiDARセンサーによる人物侵入検知を契機にQoD APIを実行することで、平常時は品質を最小限に抑えながら、必要な時のみ高品質な映像で監視ができることを確認した。
ソフトバンクは、通信事業者の業界団体「GSMA」が立ち上げた共通APIの構築に向けた「GSMA Open Gateway」に参画している。本実証などを通して、通信事業者とアプリケーションサービスプロバイダーとの多様なビジネスモデルの実現と迅速な市場展開による業界全体の成長促進を目指しているという。