宮崎県都農町、岡山理科大学、NTT東日本、NTT西日本の4者は2024年2月13日、ICTと好適環境水を活用した人工交雑魚「クエタマ」「タマカイ」の試験飼育を実施し、完全閉鎖循環式陸上養殖では世界初となる試験養殖に成功したと発表した。
(左から)同試験飼育で養殖したクエタマ、タマカイ
4者は、2023年3月末に都農町に完成した7.4トン水槽×2基の実証用養殖プラントにおいて、日本をはじめとするアジア各国で高級魚として好まれているハタ科の中で、完全閉鎖陸上養殖方式では成功事例が無いクエタマとタマカイを選択し、約9か月間の試験飼育を実施してきた。
岡山理科大学保有技術の好適環境水・養殖ノウハウ・養殖プラントシステムと、NTT東日本グループの持つICTを組み合わせることで、生育速度の向上と生産に関わる作業の効率化・最適化の実現に取り組んでいる。
試験飼育の結果、タマカイについては94.2%という高い生残率と、養殖における一般的な成長速度の約3倍という高い成長率の両立が確認できたとしている。
タマカイ陸上・海面養殖との成長比較
また、養殖経験のない飼育員でも現地で不安なく養殖作業に取り組めるように、魚の生育に対して影響を与える水質項目等の環境状況・魚の生育状況をデータ化・見える化して管理することや、岡山理科大学から的確な遠隔指導を受けるようにしたことで、手技・ノウハウを積み上げながら過去に事例がない高いレベルの養殖を実施することができたという。
今後は、特に高い生残率と成長率を確認できたタマカイの本格的な量産体制の構築を進めていくとしている。