NTTは2023年11月27日、複数組織が持つデータを暗号化したまま統合・分析する技術を開発したと発表した。
「データ活用が拡大し、組織“内”でのデータ利用は進んできた。次のフェーズは組織“間”でのデータ活用だが、データを持ち寄った分析は難易度が高かった」。こう話したのは、NTT 社会情報研究所 准特別研究員の濱田浩気氏だ。
NTT 社会情報研究所 准特別研究員 濱田浩気氏
例えば、組織Aの顧客データと組織Bの機密情報を組み合わせて分析を行う場合、その分析を行う分析業者に顧客データや機密情報がわたってしまい、プライバシーの侵害や情報漏洩につながりかねないというのが、濱田氏の指摘だ。
組織間データ分析の問題点
これを防ぐために用いられるのが、データを暗号化したまま、一度も元に戻すことなく分析結果を計算できる「秘密計算技術」だ。「秘密計算が普及すれば、プライバシーや機密を保護した、組織間でのデータ活用が活発に行われる世界が実現しうる」と濱田氏は展望した。
秘密計算で目指す世界
ただ、秘密計算は足し算・掛け算などの基本的な計算しかできないうえ、「秘密計算の速度は普通のコンピューターと比べて約2、3桁遅くて良い方」(濱田氏)で、安全かつ計算の速い手法をどう作るかが課題だったという。