NTTがつくばフォーラムを開催――世界のICTサービスカンパニーを目指す

NTTは2011年11月29日~30日の2日間、「つくばフォーラム2011」を開催している。初日の29日は、NTT代表取締役副社長の宇治則孝氏が「NTTグループの最近の取り組み~グローバルICTカンパニーを目指して~」というテーマで基調講演を行った。

宇治副社長はまず、2008年度から5年間にわたる中期経営戦略「サービス創造グループを目指して」の進捗状況を説明。フルIPのネットワーク基盤を構築してブロードバンド・ユビキタスサービスを提供することが大きな柱だが、「順調に推移している」という。NTTグループの事業構造については、固定分野では音声からIPへのシフトが順調に進んでおり、2011年度中にはIP系収入が音声伝送収入を逆転する見込みであることを紹介。中期経営戦略以前は、レガシー系とIP系、ソリューション・新分野の比率がほぼ半々だったものが、中期経営計画の最終である2012年度末にはIP系、ソリューション新分野が75%に達する見込みで、「事業構造の転換が予定通り進んでいる」と述べた。

講演するNTT代表取締役副社長の宇治則孝氏

次に、東日本大震災の影響を紹介。被害と復旧状況を説明したうえで、今後の災害対策の基本的な考え方として、(1)災害に強いネットワーク作りと早期復旧手段の整備、(2)地域救済拠点の早期通信確保、(3)被災後の情報流通手段の確保、(4)災害時や復興時に役立つサービス・ソリューションの提供を挙げ、「NTTグループの総力を挙げて対応していく」と語った。

その取り組みの一例として、広域災害時などに人口密集地の通信を広く効率的に確保するために、通常の基地局とは別に、大ゾーン基地局を12月までに全国に104カ所に設置する予定であることや、都道府県庁、市区町村役場等の通信を確保するために基地局の無停電化やバッテリーの24時間化を推進していることなどを説明した。

その次に、スマートフォン、タブレット、光iフレームの現状を紹介。「これらの流れを大きく加速している1つの要因がWi-Fi」と語り、モバイルWi-Fiルーターや、NTTドコモとNTT東日本の公衆無線LANスポットの拡張計画などをアピール。「家の中でも外でも光とともにWi-Fiルーターなどを展開していくことで、ネットワークを意識しないで、FMC的にどんどん使うということがこれから増えてくる」と見通しを語った。

「クラウド」に注力していく

こうしたネットワーク、デバイスの展開にともなって、「クラウド」が普及してきており、「NTTグループとして大きく展開していきたい」と語った。すでにNTTコミュニケーションズやNTTデータ等、グループ各社がそれぞれの特徴を活かしたクラウドを展開しているが、「課金や認証等のベースとなる基盤については、グループで連携して提供している」と述べた。宇治副社長は、法人向けモバイルクラウドサービスや自治体クラウド等の既存サービスを紹介したうえで、今後の展開として「クラウドに貯められた大量データ(Big Data)を処理・分析することで、新たに色んな価値が出てくるので、ユーザーの豊かな生活につながるような活用についても検討を進めている」と語った。さらに、新たな事業エリアとして「M2Mクラウド」を視野に入れていることも明かした。

NTTグループが提供するクラウド (クリックで拡大)

このほか、エネルギーへの取り組みやグローバル事業の展開方針なども紹介したうえで、「NTTは今後、従来の日本の電話会社から、世界のICTサービスカンパニーへと大きく展開していきたい」と述べた。

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