アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)とアクセンチュアは、2023年10月19日に記者説明会を開催し、調査レポート「中堅中小企業(MSME)を通じてクラウドが経済と社会に与えるインパクトとは」の結果を発表した。
同レポートによると、Webベースの電子メールサービスやクラウドベースのストレージソリューションなど、基本的なクラウドテクノロジーを導入している日本企業の割合は68%だが、機械学習用のクラウドサービスなど、「アドバンスレベル」でのクラウドテクノロジーを導入する企業はごくわずかだという。例えば、2019年時点でクラウドAIを活用する日本企業は4%未満だった。
また、医療/教育/農業の3分野において、MSMEが与える経済的・社会的インパクトに関するレポートも公表。調査対象のMSMEの78%が、2030年に最も大きな社会的影響を与えるテクノロジーとして、AIと機械学習を挙げている。
クラウド主導のMSMEが増えることで、2030年にはこの3分野で年間最大1兆9000億円の生産性向上効果と、日本の総雇用の約7%に相当する520万人の雇用創出が期待できるという。
2030年には年間最大1兆9000億円の生産性向上効果が見込める
医療分野においては、2030年に日本国内で6000万件のオンライン医療相談の利用が促進され、年間1兆2000億円の生産性向上が見込めるという。
教育分野では、年間5000億円レベルの生産性向上効果に加え、クラウド主導のMSMEが提供するeラーニングを利用する学生が2030年に400万人に達するとアクセンチュアは予測している。
また、3軒に1軒の農業従事者が、クラウド主導のMSMEによる精密農業技術を使用するようになるという。同レポートでは、農業分野における1000億円相当の生産性アップにつながると見ている。
アクセンチュア ストラテジー&コンサルティング マネージングディレクターのアーロン・ヒル氏は、「クラウド主導経済の実現により、社会的にも経済的にも大きな可能性が広がっていく」と展望した。