KCCS・マスプロ電工のSigfox浸水センサーが実現する「面」での水害対策

KCCSとマスプロ電工が開発したSigfox浸水センサーが自治体関係者の高い関心を集めている。“破格”とも言える1台3900円のセンサーで、市街地まるごとを対象に浸水被害を検知できるのだ。これまでの一級河川等に限られた「点」ではない「面」の浸水対策が可能になり、新たな用途も生まれているという。

東京ビッグサイトで開催されている「地域防災EXPO」。自治体関係者の注目を集めていたのが、京セラコミュニケーションシステム(KCCS)とマスプロ電工が開発したSigfox浸水センサーだ(参考記事:KCCSなど、Sigfoxを活用した浸水センサーを国土交通省の実証実験で設置開始)。

浸水センサーの設置イメージ(正面)。展示会場では実際に浸水を検知するデモが実施されていた

浸水センサーの設置イメージ(正面)。展示ブースでは実際に浸水を検知するデモが実施されていた

小型、簡単設置、低コストの浸水センサー

昨今頻発する集中豪雨や大型台風などにより、建物の浸水被害が増加している。被害を最小限に食い止めるには、浸水状況をいち早く察知して対応することが必要だが、センサーをくまなく設置するには価格や設置場所などの点で課題が多かった。水位を検知するセンサーにはプローブ式や超音波方式などがあるが、専門業者による設置工事を要することも多い。電源供給も問題となる。

今回両社が開発した浸水センサーは、小型、簡単設置、低コストの特徴を備えたデバイスだ。横48.8mm×高さ169.7mm×奥行32.2mmの筐体はテレビのリモコンを少し小さくしたようなサイズ感。重さは110グラムで、実際に手に取るとその軽さを実感する。このコンパクトな筐体に、センサーとSigfox通信モジュールが収められている。

取り付けに難しい工事は不要だ。背面のスリットに結束バンドを通し、ポールなどにくくりつけるだけでいい。電源はコイン電池を使用するため、配線も不要。通常の使用ならば電池寿命は約3年間であり、交換の手間も省ける。通信に利用するIoTネットワーク・Sigfoxは人口カバー率95%の公衆網なので、通信エリア圏外になる心配もほとんどない。長距離伝送もSigfoxの特徴であり、中継器等のネットワーク設備も必要としない。

筐体底部の金属部分で浸水を検知する

筐体底部の金属部分で浸水を検知する

筐体底部に露出した金属部分で浸水を検知する。設定した時間(最短1分。変更可)水に浸かると、浸水が起こったと判定する。その情報をSigfoxで送信し、KCCSの安否確認サービス「安否ナビゲータ」とクラウド経由で連携。浸水状況を可視化したり最適な避難経路を住民に避難情報などを通知することができる。また、LINEやメールでの通知も可能で、地域住民に避難情報を直接通知することも可能だという。

「安否ナビゲータ」の画面。避難所情報など、様々な情報を選択して表示できる

「安否ナビゲータ」の画面。避難所情報など、様々な情報を選択して表示できる

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