ノルディック・セミコンダクターは、ノルウェーに本拠地を置く半導体メーカーであり、Bluetooth Low Energy市場ではリーダーと言える存在だ。
今回の「ワイヤレスジャパン×WTP 2023」では、今年4月に発表された新製品である低電力ワイヤレスSoC「nRF54」シリーズや、パートナー企業とともに開発したIoT製品を展示し、多くの来場者の注目を集めていた。
ノルディック・セミコンダクターブース
特徴は超省電力とマルチプロトコル
同社の製品の特徴は、超省電力とマルチプロトコルだ。nRF54シリーズ初の製品「nRF54H20」はBluetooth 5.4およびBLE Audio、Bluetoothメッシュや、Thread、Matterなどの規格に対応する。現行モデルの2倍の処理能力を持つこのSoCはセキュリティも強化されており、最高レベルのPSA(Platform Security Architecture)認証レベル3に対応する。
Bluetoothだけではない。「nRF70」シリーズは低消費電力ながらWi-Fi 6に対応するSoC。Wi-FiトランシーバーやIoT機器など、これまで難しかったバッテリー駆動の機器でのWi-Fi 6の搭載を可能にする。
また、「nRF9160」は、LTE-MやNB-IoT、GNSSに対応した、超小型のSiP(System-in-Package)だ。縦10mm×横16mm×厚さ1.04mmにこれらの機能を搭載しており、かつ省電力のため、直接LTEに接続するリストバンド型のスマートウオッチが実現する。
チップからソリューションまでワンストップ
このように高い技術力を誇る同社だが、「チップだけの会社ではない」(同社アジア太平洋地区セールス・マーケティング担当バイスプレジデントのBjørn “Bob” Brandal氏)という。つまり、競合のチップメーカーとは異なり、ソリューションやクラウドサービスまでをもワンストップで提供する点に強みを持っている。
例えば、スマートホームの規格として注目を浴びているMatterに対応したIoTデバイスの開発に対しては、SDKでソリューションを提供する。また、クラウドを利用したロケーションサービスでは、携帯電話の基地局情報に加えてWi-Fiアクセスポイントの位置情報もデータベース化しているため、GPSの届きづらい屋内でも高精度な位置情報の提供が可能だ。
Matterに対応したスマートホーム機器のデモ
そして、手軽にPoCを実施したいという要望に応えるため、各種デベロップメントキットを提供している。各SiP/SiCごとに用途を想定したパーツが取り付けられたキットが用意されているので、アイデアをいち早く試すことができるだろう。
各種デベロップメントキット
同社日本法人の代表取締役の山崎光男氏は、「産業用から民生用まで、IoTで新しい物作りをしたい人にはぜひ使ってほしい」とアピールする。製品デモも複数展示されているので、常識を超える同社のテクノロジーを体験できる絶好の機会だ。
ワイヤレスジャパンの会期後には、「Nordic Tech Tour in Japan」が開催される(東京は6月6日、大阪は6月8日。事前予約制)。担当者からの詳しい説明やハンズオンワークショップが行われるので、こちらも合わせて参加してみてはいかがだろうか。