成功するためのアプローチ
図表2で示した「ワークスタイルの改革を行う際の検討の軸」の全体像は、一般的なシステム構築と同じである。アプローチも、従来のシステム構築の工程と変わらない。やりたいことの方向性を明確化する「構想策定」、やりたいことを具体化する「要件定義」を実施した後、要件に従って、設計、開発、テストを行い運用に至る。今、次世代情報端末の活用において企業が最も苦戦しているのが、構想策定、要件定義の工程である。
ここでの主なタスクについて説明したのが図表3だ。
図表3 構想策定および要件定義における主なタスクと成果物 |
構想策定は端末の活用に関わる社内外の状況を整理した上で、「何を行うのか」「どのような効果を望むのか」「どれくらいの期間で達成するか」を明確化する工程である。ここでポイントとなるのが「実証実験」だ。早期に効果を確認することは、新端末への社内における不安を払拭し、導入への期待感を維持・高揚させる打ち手となる。また、抵抗勢力が発生した場合の効果的な対策になることも期待される。
もちろん、事前に活用の方向性を定め、それらと整合性を取って実施しなくては説得力を得ることは難しい点を考慮すべきである。活用の方向性や実証実験の結果をもとに、活用案を複数設定し、費用対効果を算出する。
要件定義は、構想策定で明確化した方向性をシステム要件書(RFP)として実現可能な形まで具体化する工程である。次世代情報端末のシステム構築は1つのベンダーでまかなえない場合が多い。そのため、「端末アプリケーション」「端末管理」などで領域を分け、機能要件や非機能要件を整理していくことが重要である。
弊社では、こういった課題を解決し次世代情報端末の導入をスムーズに進めるために多数のツールやワークシートを整備しており、導入検討中の企業に活用いただいている。
導入したものの、場当たり的に活用方法を模索していては、ビジネス改革への道のりはあまりに遠い。「戦略」「組織・人」「業務」「システム」と整合性をとり、適切な手順で検討を進めて初めて、次世代のワークスタイルを実現することができるだろう。
次回は、次世代情報端末の検討が最も進んでいる営業・販売の領域にフォーカスをあて、事例を踏まえつつ、戦略・業務の視点から活用の方向性を提言したい。