NTTデータの傘下でグローバル通信事業を行うNTTリミテッドと、人工衛星の運用を行うSESは2023年4月5日、衛星をベースとしたプライベート5Gのソリューションを共同で企業向けに提供するため、複数年に合わせて提携すると発表した。
NTTが持つプライベート5Gと「Edge as a Service」と呼ぶエッジコンピューテングを、SESの第2世代の中地球軌道通信システム「O3b mPOWER」と組み合わせて提供する。これにより、地上波ネットワークが不足している地域で活動する企業が、高パフォーマンスの接続性を活用することができるようになるという。特に、エネルギー、鉱業、海運、製造業など、接続性が制限されることの多い産業のDXと収益向上の推進が期待されるとしている。また、接続需要の急増に対応する必要がある企業のニーズも想定する。
このソリューションは、官民ローミングにより190ヶ国以上への通信を可能にするという。NTTは、プライベート5Gとエッジ・コンピューティングに加え、ユースケースのコンサルティングと設計、アプリケーション開発、システム統合、実装、管理サービスも提供する。一方SESは、O3b mPOWERを介してエンド・ツー・エンドの衛星ネットワークを提供し、NTTのサービスとシームレスに統合されるとのことだ。
この提携に対して、IDCのEMEAテレコ・モビリティ・リサーチのアソシエイト・バイス・プレジデントであるアレハンドロ・カデナス氏は「NTTとSESの提携は、両社が各々の領域で持つ膨大な専門知識を組み合わせた業界初のマイルストーンだ。5Gの周波数が整備されていない国でも絶好の機会が開かれ、世界規模で企業の変革が可能になる」とコメントを寄せている。