郵便局と住民サービスDX マイナンバーカードを活用したデジタル化の推進役に

地域におけるDX、ICTが標榜されて久しい。本稿で取り上げるのは、マイナンバーカードというデジタルのツールを郵便局というアナログの拠点で活用する方策の有用性だ。

1.マイナンバーカードと郵便局

マイナンバーカードは、個人番号を証明するだけでなく、本人確認のための公的な身分証明書となるものだ。通信回線と文書等の発行ができる環境があれば、マイナンバーカードによって、各種証明書の交付を受けたり、行政手続の申請をしたりすることができる。

郵便局は、その環境を提供できる身近な存在だ。地域の住民サービスの担い手として見るときには、次の点が有用性として重要である。

第一に、その拠点性が挙げられる。郵便局は、全国津々浦々に窓口拠点として維持されている。特に過疎地では、人口減少の中、郵便局が最後の「常勤の社員がいる事業拠点」となりつつあり、その窓口拠点としての機能が活用できる。

第二に、その人材の有用性がある。従来から、郵便局員は地域において、住民からの顔の見える関係を形成してきた。それを受けて、後述する郵便局事務取扱法において、自治体の事務を受託することが可能とされるなど、公共的な事務を行う役割が与えられている。それによって、サービスを受ける住民への実地におけるサポートが期待できる。

第三点は、郵便局舎という物理的な基盤の存在だ。これが様々な公共事務に利用できる潜在性を持っている。

第四に、郵便局は、日々平均して2軒に1軒の割合で各世帯・各事業所に配達をするネットワークを有しており、これを活用することができる。

住民サービスは、しばしば、証明書を文書やカードの形で交付することで行われるが、マイナンバーカードとICTを利活用することで、身近な郵便局で行うことができないか。

本稿では、そういった見地から、マイナンバーカードと郵便局の活用の拡大に向けた取組について紹介する。

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藤野克(ふじの・まさる)

総務省郵政行政部長。博士(学術)。総務省大臣官房企画課長、大臣官房審議官(国際技術、サイバーセキュリティ、情報流通行政局担当)などを経て現職。著書に『電気通信事業法逐条解説』(共編著)、『インターネットに自由はあるか 米国ICT政策からの警鐘』(2012年度大川出版賞受賞)がある

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