ソフトバンク、超デジタル社会の実現に向けて超分散コンピューティング基盤の研究を開始

ソフトバンクは2023年3月23日、超デジタル社会の実現に向けて、次世代デジタルインフラに関する研究開発を開始したと発表した。

国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下、産総研)と共同で、次世代デジタルインフラの基になる超分散コンピューティング基盤に関する研究を推進する。

今後、5GやMECなどの技術が進化し、スマートシティやドローンによる配送、物流の自動化など産業のデジタル化がますます加速することで、超デジタル社会が到来することが期待されている。社会全体がデジタルでつながる超デジタル社会の実現には、多種多様なデータを柔軟かつ適切に利活用できることが必要だ。しかし、現在は企業ごとや組織ごとのデータ利活用によるデジタル化のみが進んでいて、社会全体の最適化に至っていない。

一方、スマートモビリティやスマートシティなどの実現には、大量のセンサーやIoTデバイスなどから得られる現実空間のデータを仮想空間に取り込んで処理を行い、現実空間に反映することが必須となり、現実空間の機器や事象は仮想空間と時間的・空間的な同期が求められる。そのためには、離れた場所に存在する多数のセンサーなどから取得したデータを正確に取り込み、サービスの要求レベルに応じた処理能力と処理速度を可能にするコンピューティング基盤が必要になる。その一方、現在のクラウドなどのコンピューティング基盤では、5Gやポスト5Gの特性である超低遅延や多数同時接続など現実空間のデータ処理に必要な機能や性能を提供できていない。

ソフトバンクは、これらの課題の解決や超デジタル社会の実現に向けた取り組みの一環として、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施する「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/ポスト5G情報通信システムの開発(委託)/(f1)超分散コンピューティング技術の開発」の公募に、産総研と共同で取り組む「超分散コンピューティング基盤の研究開発」を提案し、研究課題として採択された。ソフトバンクは、この採択を受けて、産総研と共同で超分散コンピューティング基盤の超分散処理技術やデータ連携基盤技術に関する研究を開始した。

研究の概要は、以下の通り。
①データが広域に分散している環境で、一定の時間内に処理を完了する確度を高める技術
②現実世界から多種多様かつ大量のデータを取り込み、処理する技術
③複数の場所から生み出されるデータを一定時間内に安全に連携する技術
④ポスト5Gを生かす①~③の技術を適切に組み合わせて、提供するモデルの構築と実装
⑤研究開発の成果を広く普及させるための戦略の立案と推進

本研究により、超分散コンピューティング基盤が実用化することで、企業や組織ごとに分散しているデータを共通の基盤で連携させて、様々な分野のデジタル化を実現することが可能になる他、分散した計算資源やネットワーク資源を一体で扱うことで、データを利用したいユーザーの近くで処理するなど、最適な場所で最適なデータ処理を行うことが可能になる。また、爆発的に増加するデータトラフィックを分散して処理することで、消費電力を抑えることが可能になり、カーボンニュートラルの達成に貢献することも期待できる。

これにより、例えば、自動運転の車両データや交通データ、信号データなどの連携によって、AIを活用した未来予測で交通事故がない社会を実現したり、人流データや気象データからの需要予測によって、効率的な生産や配送を可能にし、無駄がないサプライチェーンを実現したりするなどの世界が期待されるという。

続きのページは、会員の方のみ閲覧していただけます。

関連リンク

RELATED ARTICLE関連記事

SPECIAL TOPICスペシャルトピック

スペシャルトピック一覧

FEATURE特集

NEW ARTICLES新着記事

記事一覧

WHITE PAPERホワイトペーパー

ホワイトペーパー一覧
×
無料会員登録

無料会員登録をすると、本サイトのすべての記事を閲覧いただけます。
また、最新記事やイベント・セミナーの情報など、ビジネスに役立つ情報を掲載したメールマガジンをお届けいたします。