会津若松市に見る「都市OS」の可能性、スマートシティサービスを22に拡充

スマートシティの先行事例の1つである会津若松市は、「都市OS」を基盤として食農や決済、防災、医療等の複数分野のデータ連携による付加価値の高いサービス創出に取り組んでいる。令和4年度の「デジ田」交付金 Type3採択事業でサービス数は6から22へ、連携するデータ資産は3から20へと一気に拡充した。

「今回の事業のなかで、新たに16個のスマートシティサービスが動き出した。この裏側で動くデータアセットは新たに17種が追加。また、3つの外部システムが会津若松市の都市OSにつながっている」

東日本大震災からの復興事業のシンボルとして、2013年にスタートした会津若松市のスマートシティプロジェクト。その現在地について、同プロジェクトの推進団体「AiCTコンソーシアム」代表理事を務めるアクセンチュア 海老原城一氏はこう述べた。

AiCTコンソーシアム 代表理事 兼 アクセンチュア イノベーションセンター福島 センター共同統括 海老原城一氏

AiCTコンソーシアム 代表理事 兼 アクセンチュア イノベーションセンター福島 センター共同統括 海老原城一氏

スマートシティプロジェクトは全国各地で進められているが、その多くは「防犯」や「防災」「医療」などの分野ごとに住民サービスを提供している。これを次の段階へ押し上げるカギとなるのが、「都市OS」「データ流通基盤」と呼ばれるプラットフォームだ(参考記事:アクセンチュアが考える地域DXの鍵「都市OSで共助モデルを作る」)。

都市OSの目的は、複数種のデータを連携させることで、分野横断型の付加価値の高いサービスを創出することにある。令和4年度 デジタル田園都市国家構想推進交付金事業においてType3(データ連携基盤を活用し、複数のサービス実装を伴う取り組みを支援)の採択を受けた会津若松市は、過去10年にわたる取り組みをベースに、このデータ連携を本格化。冒頭のようにサービス数を一気に拡充した。

都市OSを活用したデータ連携のイメージ

都市OSを活用したデータ連携のイメージ

この成果について、同市は2023年3月17日に記者説明会を開催。2022年度からの3年間で実装を計画する12分野のデジタルサービスのうち、Type3採択事業で実装を始める6分野について説明した。

農家と飲食店をつなぎ「稼げる農業」

1つは「食農受給マッチング」。野菜や果物を作る農家と、旅館やレストラン等の実需者を直接マッチングし、地産地消型の新たな流通網を構築するサービスだ。

食農受給マッチングの概要

食農受給マッチングの概要

「ジモノミッケ!」と名付けられたこのサービスでは、例えば、「〇日に△△が必要」とリクエストした旅館と、その生産者をアプリ上で直接マッチングする。逆に、農家が採れた野菜を挙げ、購入者を探すことも可能だ。

新鮮な野菜を低コストに届け、地元で消費できることに加え、「曲がった野菜など市場に出せなかった標準外のものも、調理してから出すならレストランに買ってもらえたり、配送費が安くなるので高く売れたりといった効果も出ている」と海老原氏。生産者の所得向上につなげる。

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