NTTとKDDIは2023年3月17日、光伝送技術やモバイルネットワーク技術ならびにその運用管理技術など、両社が共に強みを生かせる光ネットワーク分野の標準化に向け基本合意書を締結したと発表した。
目指す通信インフラの全体像
今回の合意書の概要は、以下の通り。
1. 高速化と品質維持を両立するオールフォトニクス・ネットワークの伝送方式の標準化
電気処理を行わず光波長信号のまま処理して伝送するオールフォトニクス・ネットワークは、低消費電力かつ低遅延が特長。一方、様々なサービスごとに有限の光波長を効率的に割り当てる手法や、光ファイバー中や光増幅器での伝送品質劣化の抑制が課題となっている。両社が強みとする光ファイバーやそれに関連する通信技術、国内外での社会実装の実績を基に、オールフォトニクス・ネットワークの実現、拡張、キャリア間の相互接続に向けた標準化活動を推進する。
2. モバイル通信におけるオールフォトニクス・ネットワークの標準化
Beyond 5G/6Gの時代には、新たなサービス体験を提供すべく、より多くの基地局の構築などモバイルインフラの高度化が求められる。両社はモバイルネットワークにオールフォトニクス・ネットワークを適用するための技術の標準化活動を進め、基地局を含むコアネットワーク内や、エッジやクラウドがあるデータセンター間をオールフォトニクス・ネットワークで繋げることで、モバイル通信・サービスの高度化に寄与する。オンデマンドにコアネットワークを構成し消費電力の削減にも寄与できる、大容量かつ超低遅延でゆらぎのない高品質・高信頼な革新的なコミュニケーションインフラの実現を目指す。
3. オーケストレーション技術の標準化
Beyond 5G/6G時代には、社会におけるICTリソースはこれまで以上に飛躍的に増大するだけでなく、高い信頼性が求められることから、様々なICTリソースの配備と構成の最適化を実現する強靭なネットワークが求められる。両社は、これまで培った光ネットワークの監視・制御技術の標準化活動を推進し、マルチベンダーシステムにおいても信頼性の高い光ネットワークを実現していく。複数の光ネットワークを協調して監視制御するオーケストレーション技術を両社で検討し、強靭なネットワークの実現を推進する。
標準化活動を進めるにあたり、オープン・イノベーションの推進の場として、Innovative Optical and Wireless Network (IOWN) Global Forum などの活用の仕方なども含めて検討を行い、将来的にITU-T (International Telecommunication Union-Telecommunication Standardization Sector)などでの技術の標準化を目指すという。